[携帯モード] [URL送信]
・16


「県外の大学ねー。そりゃ確かに難しいかも。遠距離やるほど私体力ないし」


 案の定佳奈の意識はそっちに流れた。内心ほっとしていると、佳奈は、はて、と首を傾げた。


「でも、同級生ってことはタメよね? 県外の大学行ったのに、なんであの店でバイトしてるの?」


 確かに、言われてみればそうだった。
 もうこの街で逢うはずがないと思っていた。だからこそ今日の再会の驚きはひとしおだったのだ。

 何か、あったのだろうか。


「さ、さぁね。知らない」


 心配に思いつつも他人のふり。元は他人だ。高校が同じだったというだけの話。

 真紀は平静を装って答えた。


「ふーん。まぁいいけど。私狙っちゃおうかなぁ」

「…………」


 佳奈の言葉に胸がぎゅっとなる。我関せずを貫こうとしたら、逆に怪しまれた。


「あれ? 彼氏いるのにとか言わないんだ?」

「……ぅ」


 いつもそうだが、佳奈は痛いところばかり突いてくる。油断も隙も見せられない相手なのだ。


「別に。関係ないし」

「ふぅ〜ん?」


 佳奈の視線が痛い。

[*back][next#]

16/119ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!