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「本日はご来店ありがとうございました。よろしければまたお越しください」


 口調からしてバイトではなさそうだ。胸についたプレートには店長、福島と書かれていた。この穏やかな雰囲気の店がこの男性のものだというなら納得だった。

 福島はレジの横に置いてあった名刺大のカードを一枚ずつ渡してきた。


「『JAZZY NIGHT』?」


 書かれていた英語をそのまま読むと、福島が笑顔で頷いた。


「昼間は静かな喫茶店ですが、夜には店内にジャズを流してちょっとしたバーのようになるんです。よかったらいらしてみてください。また新たな発見があると思いますよ」


 ということは、店内に置いてあった蓄音機はそのときに活躍するのだろう。真紀の中に興味が生まれた。


「真紀、行こ」


 夜間営業には興味がないのか、それとも福島に興味がないのか、すでに扉に手をかけていた佳奈が急かす。
 真紀は福島に一度お辞儀をしてから店を出た。

 外はオレンジを絞ったような、鮮やかな空が広がっていた。


「んーなかなかだったわね」

「うん。店長さんいい人そうだったし」


 体を伸ばしながら言う佳奈に同意すると、そういうことじゃないわよ、と半眼で睨まれた。

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あきゅろす。
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