キセキの秋桜
6.すれ違いから始まる新たな始まり
──それは、前触れであり大きな心の変化を示している──
[じゃあ、私先に帰るね]
「空ちゃん……」
「京子、帰ろ」
「うん」
結局、少し授業に出たものの、荷物を纏め保健室で殆どの時間を過ごした空は、綱吉と京子の机の中に手紙を入れそのまま帰った。
怪我も酷いというのに……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「バスケはやっぱいいッスね」
「はい」
「テツく〜ん」
「当たり前だろ」
「分かり切っているのだよ」
「あーお菓子欲しい〜」
「お菓子は後だよ」
会話をしながら、帝光中の制服≠着て歩く六人の男達と一人の女子が会話(?)をしながら並盛商店街を歩いていた。楽しそうと言われれば、微妙な所なのだけれど。
ドン
「あ、すみません」
「あ、こちらこそすみません……ちゃんと前を見てなくて……」
「いえ、ボクは大丈夫ですから」
「本当にすみませんでした」
六人の中で一番背の低い男、黒子は自分よりも背の低い空とぶつかってしまい、お互いに謝る。暫く間が空いた後、空の方が軽く頭を下げて去って行った。
「テツくん大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「てか、さっきの子……並中の制服着てたッスね」
「並中?」
「帝光中の近くの学校だよ」
「あぁ〜なんか並盛を牛耳ってる奴が居るって噂の」
(さっきぶつかった人……酷い怪我……)
(さっきの子……雰囲気が尋常じゃなかった……)
黒子と桃井が空が去って行った方角を見ていたが、二人は不思議とまた会える気がした。
[*前へ][次へ#]
無料HPエムペ!