キセキの秋桜
5
此処は何処……私は如何なったの?
そうだ、雲雀さんに落とされたんだ……躊躇いも無く階段から。
アハハ、笑える。
幸せだった筈なのに、何でこんな事になったんだろう。
私は無実なのに誰も信じてくれなくて、何を言っても冷たく返されて、訴えれば訴える程私は悪者にされて……
皆、私が嫌いなんだね。
……私が悪者なんでしょ?
「ん?」
「目覚めたか?」
「……。(誰だっけ? この人)」
「目覚めたみてぇだな。おい、姫さんお目覚めみてぇだぜ」
「本当に!?」
「本当ですか!?」
「嘘なんて吐いて如何すんだよ」
(この人も、私が悪者だって思ってる)
「空!」
「空ちゃん!」
「……お兄ちゃん? 京子ちゃん?」
気付けば空は保健室に居た。あの後、教師が倒れている空に気付き急いで保健室に運んだのだ。
「此処、保健室?」
「そうだよ。空倒れてたって……」
「先生が運んでくれたって」
「そっか……
(じゃあ、さっきのはシャマル先生か)」
「「如何したの?」」
「何でもないよ」
綱吉と京子は少し様子の可笑しい友人(妹)に不思議に思った二人は、小首を傾げる。当の本人も何も無いといいつつ、兄と友人の顔を見ようとしなかった。
それもそうだ。この時既に空の心は変わりつつあるからだ。
「お前如何するんだ? このまま授業出んのか?」
「どっちでもいい。先生的には帰って安静にしてた方がいいんでしょ?」
「まぁな」
「そっか……でも授業は出る」
「そうか、あんま無理すんなよ、空ちゃん」
珍しく(女の子に対しては何時も)優しいシャマルが空の頭を撫で様とした時だった。
パシン
「気安く触るな」
「おっと……怖ぇ」
「「空/ちゃん!?」」
素早くシャマルの手を素早く払いのけ、冷たく射る様な目と今までに聞いた事の無い様な、ドスの効いた声で喋った。綱吉も京子も今までに見た事も聞いた事の無い友人(妹)の姿に驚きを隠せなかった。
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