キセキの秋桜
67
「?」
(何、此処)
黒い空間にまるで水の中に居る様な感覚、と言う不思議な体験をしていた。そして空は一つ疑問に思った。
何時も見る夢とは違う。温かい何かに包まれている感覚がする、と。
其れでも空は閉じた瞳を開くつもりはなかった。
「……。」
(これは、夢じゃない……何だろう、この感じ)
「此処はボンゴレ]世(デーチモ)の妹、お前自身の世界だ」
「この世界じゃお前次第で決まるっつう事だな」
「そう言う事でごさるな」
(……誰)
(後……如何いう事。私次第って)
何時もとは違う感覚に少し違和感を覚える中、空は何者かに声を掛けられていた。声を掛けられても、空は閉じられている瞳を開くつもりはなかった。
元より閉じた心を開くつもりはない。もう、空が自分で決めた事だったから。
「そう言う事」
「ヌフフ……」
(何か一人だけ、気持ち悪い人が居る)
(そう言う事って)
「……面倒だものね」
「究極、そう言うな」
(何で、こんなに私に話し掛けて来るんだろう)
(知らない人なのに)
空はプカプカと水の中で浮かんだ様な、床の上にいる様な、不思議な感覚のまま真っ黒な空間に何もせずに居た。瞳を閉じたまま、何もしないでずっと。
すると、優しく空の頬に優しく手が触れた。其れでも瞳を開かず、閉じたまま。
そして優しい声がした。
「まだ暫くオレ達はお前の前に姿を見せてはやれないが、何時でも此処に来るといい」
「だとよ」
「待ってるでござる」
「まぁ、相手位はしてやるんだものね」
「興味ないね」
「ヌフフ……面白そうですね」
「究極、溜め込むのは良くないからな!」
(誰……)
(私、この声知ってる……様な気がする)
空にそう告げると優しく頭を撫で、「……もう目覚めるな」そう言って、空から離れて行った。
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