キセキの秋桜 64 『──くんは大きくなったら、────になるの?』 『うーん、わからないけど……なりたいなーって思う!』 『わぁ! ──くんはすごいね! ぼく、どんくさいからむりだよ…』 『んなことねーよ』 『そんなことないよ。お兄ちゃんだって、やればできる!』 『そうかなぁ……?』 『『ぜーたいそう!』』 楽しそうに、嬉しそうに将来の夢について話をしていた。やはりまだ小さい子供。 大きく膨らんでいく夢に、三人で楽しそうに笑っている。 『ツッくんと空ちゃんは何になるの?』 『『うーん、』』 『(ワクワク)』 『『……まだわかんない』』 『ふひゃ! ツッくんと空ちゃんはもったー』 『『?』』 『ふひゃっ! おもしれー』 『『??』』 『ふひゃひゃ!』 『──くんのわらいかたへーん』 『おもしろーい!』 『?』 『『?』』 『『『あははっ!』』』 「……。」 空はまた夢を見た。今朝見た夢とはまたシーンは違うが、夢には必ず幼い三人の子供が出て来る。 一人は自分、一人は双子の兄、一人は全く覚えのない黒髪の男の子。其の姿も決まって小学生の時のものだった。 特に不愉快に思っている訳ではないが、何故急にこんな夢を見るようになったのかが不思議でならなかった。とはいえ、空にとってはとても大切な思い出なのには変わりない。 然し空は知らない。勿論、綱吉やとある一人の少年も同じ夢を見ているとは。 其の夢が意図的に見せられているという事に。七人の虹色の意思達がそれぞれのオモイ≠秘めて、大切な双子ちゃん(子孫)の為に動き始めているという事に。 誰一人として、知る者はいない。 (また……) 「……。」 「お、目ぇ覚めたか空ちゃん」 「……。」 「此処は保健室だ。ゆっくり休みな」 「……。」 (こりゃ、かなり重症だな) 空は何時の間にか保健室に運ばれていた。何時の間に運ばれたのかは分からないが、空自身にとっては格段どうでもいい事だった。 シャマルの言葉も丸々無視して、空は鞄を持ちベッドから降りて保健室を後にし、教室に向かった。 [*前へ][次へ#] |