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キセキの秋桜



イジメを受け始めてから早くも二週が経ち、前よりも状態は更に酷いものになっていた。




ドゴッ

ドスッ




「グッ……うっ……」

「お前よく学校に来れるよな」




バシンッ




「っ」

「何でそんなにのうのうとしてられんだよ」

「私は……何もしてない……」

「ふざけた事言ってんじゃねぇよ、このアマ!!」




ドスッ




「ぐあっ……!」

「テメェがのうのうと学校に来てから、俺らが安心出来ねぇんだよ!」

「お前さえいなけりゃ、こっちは安心でんきんだよボケが!」




ゲシッ

ドスッ

ドガッ




「ゲホッ、う、ぐっ……」

「はっ、ざまぁみろ」

「行こうぜ」

「あぁ」




殴るだけ殴った男子生徒達は、空を放置してそそくさと教室へと戻って行った。殴られた本人は冷たいコンクリートの上(屋上にいる為)で静かに涙を流した。




「うっ……グスッ……」




(何で私殴られてるんだろう。何で私、泣いてるんだろう。悲しいから? 悔しいから? 辛いから? 分からない……もう何もかも分からない……)




「君、そんな所で何してるの。もう直ぐ授業始まるんだけど」

「……。(この声は……雲雀さん?)」

「ねぇ、訊いてるの」

「……。」




(雲雀さんは元々助けてなんてくれない。期待しないし、助けてとも言わない。この人は、殴ってくる)




グイッ




「っ」

「君、あの草食動物の双子妹? ふぅん」

「……。」




雲雀に胸ぐらを掴まれ無理矢理立たされた空は、雲雀の目をジッと見つめていたが、暫くすると逸らした。雲雀もまた見つめていたが、気に入らなかったのか、あろう事かそのまま胸ぐらを掴んだまま屋上の出口へ向かった。




「風紀を乱さないでよね」

「……。(乱した覚えなんてない)」

「君がどうなろうと、僕には関係無い」




(結局この人も元々は暴力的な人か……。だって、冷たい目をしてるし……私一人が消えても、動じないって顔してる)




「じゃあね」

「……。」




雲雀は階段の所まで来ると胸ぐらを掴んでいた手を離した。重力に添うように空の体はゆっくりと、スローモーションの様に落ちていく

鈍い音がした後、ドンッと重い物が落ちた音が辺りに響いた。そんな様子を見下す雲雀の姿があった。




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あきゅろす。
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