キセキの秋桜
46
「フンッ、まぁいいわ。もっと傷付けばいいよぉ〜」
「……。」
「ふふふっ」
言い争いを終えて捨て台詞的なものを言って去って行った愛に、空は愛が去って行った方を暫く睨み付けていた。然(しか)し、五分もしない内にその場に座り込んだ。
周りの人間も自分のクラスへと行ってしまった為、誰も居なくなった中、綱吉達(京子とクロームは教室に行っています)が近寄って来た。
「「空((ちゃん))!!」」
「……。
(思いっきり頭ぶつけたな、アイツ)」
綱吉と炎真が声を掛けた事にも気付かず、空はコンクリートの床を見つめたままだった。何の反応も示さない空に、二人はとても心配になった。
「大丈夫!?」
「何処か痛いところある?」
「……別に。大丈夫だから放っておいて」
「「……。」」
冷たく言い放つ空ではあったが、床を見つめたまま動こうとはしなかった。それを見た綱吉と炎真もまた、その場から動こうとはしなかった。
空は二人が動こうとしない事に一瞬怒りを覚えたが、何も言わなかった。空にとっては、どうでもいい事でもあった。
「っ」
(もうどうでもいい……。誰も信じない……)
「空!」
「空ちゃん!」
フラフラと立ち上がり、何処かへ行こうとする空を引き止めようとする綱吉と炎真だったが、当の本人は聞く耳持たず、そのまま教室の方に歩いて行ってしまった。取り残された綱吉と炎真は、淋しげな顔をしたままお互いを見た。
(本当に、変わっちゃたんだ……空ちゃん)
(空を守らなくちゃ。オレに何があっても!)
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