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キセキの秋桜
41


「また明日ね」

「バイバーイ」

「……。」




あれから放課後になり、生徒達が次々と帰る中空は席に着いたまま帰る気配を見せなかった。それを不信に思った炎真達だったが、遠目に見る事しか出来ず、そのまま教室を後にした。




「…エンマ」

「如何したの、シトッピちゃん?」

「ソラちゃん、ダイジョーブかな?」

「大丈夫、だと思う。でも、少し気になるよ」




二人は会話しながら、並中を出て並盛旅館まで歩いていた。京子達も心配そうに見ていたのを見ていて知っているからこそ、心配で仕方なかった。

二人は仲よさげに会話しながら歩いている時だった、誰かに声を掛けられた。




「あの……すみません」

「「?」」

「並盛中の人ですか?」

「えっ、は、はい」

「よかったぁ〜制服違うから、違うのかと思っちゃった」

「いや、桃っち……今明らかに並中の校門から出て来たじゃないっスか」




二人に声を掛けたのは、桃井と黄瀬だ。二人は桃井達の制服を見て、この近くにある帝光中の生徒だと直ぐに気が付いた。

黄瀬と桃井は自分達に声を掛けておきながら、軽くいい争っていて、炎真とシットピーは帰ろうかな……と思っていたり。だが、相手は直ぐにまた声を掛けて来た。




「あの……沢田 空ちゃんって、もう帰ちゃっいましたか?」

「えっと、僕達が帰る時は、まだ教室にいましたけど」

「ソラちゃんに何かヨウ?」

「用って程じゃないんスけど……」




校門のところで四人が話し込んでいるのを、チラ見する生徒達。何せある意味目立つ四人だからだ。

特に黄瀬は、髪の色と身長が如何しても目立ってしまう為、チラ見対象になるわけだ。




「「えっと」」

「「……。」」




知らず知らずの内に会話が無くなってしまい、四人はただただ見つめ合っている(シトッピちゃんは何か分けの分からない歌を歌っているが)。

会話が無くなってしまった四人の元に、学ランを羽織った雲雀が此方に向かっていた。その少し後ろに、黄瀬と桃井の探し人である人物が歩いて来るのが見えた(四人は二人の存在にまだ気付いていない)。




「君達此処で何してるの。下校時間、とっくに過ぎてる。後、何故他校生が居るの? 咬み殺すよ」

「あ、はい……今帰ります」

「「……。
(この人が雲雀恭弥。成る程、並盛の秩序)」」

「……雲雀さんには関係無い筈でしょ。そこ退いてください、通れません」

「僕に命令するつもりかい?」

「……誰がたかが風紀委員に命令なんてしなくちゃいけない」




雲雀に注意を受けた炎真とシットピーは、申し訳なさそうな顔で帰ります、と言った炎真。明らかに嫌な顔をした黄瀬と桃井は、あの日空の入院先で渡された綱吉の守護者全員と同盟を結んでいるファミリー(大まかな感じ)と綱吉に関わる人物達の資料に書いてあった通りの人物だった。

黄瀬と桃井は炎真達の事は知っている筈(今はすっかり忘れてしまっているらしい)なのだが、今はそれどころではなかった。……と、その後ろから相変わらず無表情な空が恐れる事なく雲雀に話し掛けた。

雲雀も気に入らなかったのか何も言わずにトンファーを構えた。




「……。」

「空ちゃん!?」

「えっ、帰るんスか!?」

「ちょ、ちょっと……待……」

「ソラちゃーん」

「……待ちなよ」




雲雀と一触即発状態だった空気は一瞬にして一変した。ずっと雲雀を睨み付けていた空があろう事か、雲雀の横をあっという間にすり抜け、そのまま歩き出した。

事の成り行きを見守っていた四人は、驚きを隠せなかった。あんなに睨み付けていた相手と戦う(と言う名の喧嘩?)をするのかと思いきや、そのまま歩き出したのだから。

そんな空に雲雀が声を掛けてるも、無視して足を止める事はなかった。それが気に入らなかったのか、雲雀は怒りの表情だった。




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