キセキの秋桜
37
「コレも食べなよー」
「結局! 思っているよりも、酷いな」
「……。」
「……。」
「可愛い顔に傷が残ったりしたら、大変だよねー」
「静かに食べなさい!」
「煩くてごめんね」
「……。」
朝食を摂りにおりたのと同時に、至門メンバー達が、一斉に空に近寄って来た。やはり、心配だったらしい。
空は、冷めた眼差しだったが。
騒がしい至門メンバー達を余所に、炎真とアーデルハイトが来た為、冒頭の会話になる。全て一方的に空に向けられたものだ。
「やっぱり、可笑しいわ」
「急に如何したの? アーデル」
「うむ、確かに」
「「「「?」」」」
「……。」
朝食も済み、片付けようと立ち上がるのと同時に、アーデルハイトが急に言い出し、難しい顔をした。アーデルハイトの言葉に便乗する様に、紅葉も難しい顔をする。
「よく考えてみて? 空さんは、沢田と同じ位心優しい人なのよ?」
「それは、知ってるよ♪ワタシ、空ちゃん大好き!」
「それが、如何した?」
「空ちゃんの優しさは、俺がよく分かってるって」
「空さんとはよく話すから、どんな子か知ってる」
「ツナ君とソックリだもんね」
「だから、可笑しいと言ってるんだ」
「……。」
突然の事によく分からない至門メンバー達は、各々の空に対する感想を述べていく。当の本人は、食べ終えた食器を手際よく片付けていた。
「全く……分かりやすく言うなら、空さんは、誰かを傷付けたりしないと言いたいの」
「「「「!」」」」
「……。」
「結局! 噂は嘘だと言う事だ」
「……。」
「「「「……。」」」」
至門メンバー達は、紅葉の言葉を訊いて、ふと考えた。最初は、噂を信じたりもした。
しかし、学校で空を見掛ける度に、傷が増えているのを、何度も自分達の目で見て来ている。そう考えると学校での噂は、実は嘘で、自分達の目で見て来た事が真実で、噂が一人歩きしているのではないか……と。
「分かったでしょ? 今まであった事を思い返してみたら沢田も空さんも、私達を仲間だと言ってくれたのよ?」
「そんな奴が、得体の知れない転校生の女をイジメたりするものか?」
「空ちゃんは……僕と友達になりたいって、言ってくれたんだ。だから、僕は信じたい、空ちゃんを」
「「「「(コクリ)」」」」
「……。」
「決まりね」
至門メンバー達は、元々疑ってなどいない。ずっと味方で居たいと思った。
しかし、中々決心と確信がなかった為に、決断出来ずにいた。だが今やっと決心がついた。
そんな至門メンバー達の耳に、とんでもない言葉が飛び込んで来る。
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