キセキの秋桜
35
綱吉達とキセキ達は、ニコリと笑顔を見せた炎真達に?≠浮かべた。暫く黙っていた炎真達から、綱吉達とキセキ達にとって嬉しい返事が返って来た。
「分かった。空ちゃんを預かるよ」
「本当に!?」
「ええ。空さんは大切な友人だから」
「悪ぃな」
「……気にするな」
綱吉は忽(たちま)ち嬉しそうに笑顔を浮かべる。リボーンもボルサリーノを目深かに被り、口元を緩ませている。
キセキ達も安心出来たのか、皆空気が和やかだった。滅多に笑う事の無い黒子・赤司・緑間・紫原・青峰までもが心なしか笑っていた。
「炎真、有り難う」
「ツナ君……」
「よかったっスね! ツナ」
「はい!」
やはり妹の事が相当心配だった綱吉は、本当に心から安心した様な笑みを浮かべていた。キセキ達と炎真達もその様子を見て、自分達もホッとしている事に気付いた。
「あの……ツナ君」
「な、何?」
少し不安な表情で炎真が綱吉に話し掛けて来た。綱吉も何かしたのかと思い、自分でも、無意識の内に吃った返事をしてしまう。
だが、次の瞬間返って来た返事で、不安は拭い去られる事になる。
「その人達、ツナ君の知り合い?」
「え? あ、えっと……紹介がまだだったね」
綱吉は炎真に声を掛けられるまで、キセキ達の事を紹介し忘れている事気付いた。何の為に自分達の事を話し、見ず知らずの空の事を心配してくれているのか……と思い、綱吉はキセキ達の事を紹介し始めた。
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「なら、貴方達は空さんの敵ではないのね?」
「はい」
「そうっス!」
「そう、良かった……」
黒子と黄瀬の返事を訊いて、アーデルハイトは安堵の声を上げた。勿論、炎真達も安心したような表情になっている。
「えっと、改めて、宜しくお願いします」
「此方こそ宜しく」
「畏まる事などないのだよ」
「ああ、んな堅っ苦しくされるとな」
「峰ちんのいう通り〜」
赤司、緑間、青峰、紫原の四人は、かしこまる炎真に優しく声を掛ける。炎真も四人を見て、返事の変わりに笑顔を返した。
「んじゃ、俺達は戻るな」
「あ、うん。気を付けてね」
「うん。炎真も、学校では気を付けてね?」
「私達は大丈夫よ。冴島 愛とは関わりを持っていないから」
お互いに心配をし合うが、アーデルハイトの言葉に、綱吉達も何処か安心感を覚えた。
「じゃあ、また明日」
「また明日」
こうして、並盛旅館を後にした綱吉達は、それぞれの家路についた。
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