キセキの秋桜
33
─三十分後─
『……。』
「そう言う事なんです。オレも炎真達も京子ちゃんも空心配で……」
「この後如何するかは、お前達次第だ」
休憩スペースに移動してから、小一時間。話を聞き終わってから三十分経った今もキセキ達は愕然としていた。
それもそうだ。空は無実だというのに、冴島 愛という転校生に酷いイジメを受けていると言うのだから。
その証拠にリボーンも綱吉も悔しそうに辛そうに下唇を噛み締めている。
──バンッ
『?!』
「何なんですか、それ……」
「く、黒子君……?」
「黒子っち……」
テーブルを力いっぱい叩いたのは、意外にも黒子だった。怒りと何かの感情が混ざりあった複雑な気持ちに戸惑いが見え隠れしていた。
他のキセキ達も黒子と似たような感情があった為、黒子の気持ちも分かった。
「テツくん落ち着いて?」
「ボクは落ち着いてます」
「そうには見えねぇな」
「青峰も黒子と同じなのだよ」
「緑ちんだって」
「敦もだよ」
「皆だって、そうじゃないッスか」
キセキ達も話を聞いてか、怒りが見え隠れしていて、この感情を何処にぶつければいいのか分からずにいた。リボーンと綱吉もキセキ達を見ていて、「味方が増えたのかも」と勝手に思い込んだ。
綱吉は怖ず怖ずとキセキ達に声を掛けた。
「あ、あの……っ……」
『ギロッ』
「ヒッ!?」
「(ダメツナが)」
「あ、スンマセン。で、如何したんスか?」
「あ、いえ、その、」
「はっきり言え、ダメツナが!」
「えっと、だから……妹と……空と仲良くしてやってください。それと、優しく接してあげてください……」
綱吉はビクビクしながら俯き、言葉を紡がなくなった。キセキ達も綱吉の言葉に一気に頭が冷えていく。
自分達が怒りを露(あらわ)にしても、如何しようもないと冷静になる。辛いのも苦しいのも寂しいのも悲しいのも空なのだ。
「当たり前じゃないですか」
「え?」
「テツヤの言う通りだ」
「そうなのだよ」
「ああ」
「当たり前じゃん」
「仲良くなって、色々話たいな」
「そうッスよ」
「だが空に手ぇ出した奴は、容赦しねぇぞ」
其々(それぞれ)の思いを述べると、ふと黒子が気になっている事を訊いた。
「事情は分かりましたけど……空さん暫く家に帰れないなら、これから如何するつもりなんですか?」
「多分並盛には、空の居場所は無いと思います」
「今のアイツは、家に帰る気は無いだろうしな」
「如何するんだよ……リボーン」
最初の問題に直面した綱吉達。と、綱吉の脳裏にふとある人物が浮かんだ。
並盛に居場所は無くても、安心出来て尚且つ空を任せられる人物が一人。
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