キセキの秋桜
28
痛む身体等お構い無しに赤司から自分の携帯を奪うと、渋々といった様子で通話ボタンを押し、相手と会話を始めた。
「もしもし、お兄ちゃん」
《もしもし、空!?》
「私だけど、何の用」
《今何処に居るんだよ!? 近所を探しても居ないし、メールしても返信ないし……心配したよ》
「お兄ちゃんには、関係無いでしょ。私を探してアイツらにでも、私を差し出すつもり?」
《そんな事する訳ないだろ!? オレは、空を売る様な事はしない。リボーンや炎真達にも探すの手伝ってもらったんだ》
「だから何。私が居なくなって良かったって思ってるくせに!」
空の電話の相手は如何やら彼女の兄と思われる人物だった。だが、兄妹と思えない会話にキセキ達は、少し心がチクリと痛んだ。
空の着ている服は、スエットが大きかったのか完全に脱げていて、Tシャツ一枚という格好になっていた。黄瀬の着ているものだからか、空の身体が小さいのか服がずれて片方の肩と下着の紐が見えいて、傍(はた)から見ればエロい光景だ。
本人は全く気付かず電話を続けている。
《オレも炎真達もリボーンもそんな事思ってない! 本当に空の事心配なんだ》
「なら、私を叩いたのは何? 私の居場所を奪ったのは誰っていうんだよ!!」
《それは……》
「お兄ちゃんだって、本当は信じてないんでしょ? 私の事」
《そんな事ない! オレは信じてるよ。空は無実だって、信じてる》
「嘘吐くな!!!」
ブツッ
電話を無理矢理切った空は、力尽きたのかそのまま床にペタンと女の子座りした。キセキ達は先程の空の発言が頭から離れないでいた。
『私の居場所を奪ったのは誰だっていうんだよ!』
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