キセキの秋桜
13
「委員長も手加減してやればいいのに……おい、大丈夫か?」
「……。」
「沢田 空?」
「煩い」
「!」
雲雀が去った後、草壁は空を心配し、せめて保健室に運んで手当てしなければと思い声を掛けた。……が、声を掛けても返事は無く、もう一度声を掛けるとドスの効いた声と冷たい瞳が草壁の動きを止めた。
「私に触るな」
「だが、その状態では……」
「煩い! 触るな!!」
「……。」
(沢田 空の様子が変だ……さっきまでとは、違う……)
「っ、」
「おい……!」
「来るなって言ってんだろ」
「っ」
立ち上がるとそのまま教室へと戻ろうとした。
だが、身体のあちこちに痛みが走り、直ぐにその場に座り込んでしまい、息をするのも辛そうだった。
「はぁ……っ、はっ……」
「大丈夫か!? 辛そうじゃないか!」
「うるさ……」
ドサッ
「! おい、沢田? 沢田!!」
「……。」
元々根の優しい草壁は、慌てて空を横抱きにし、なるべく傷に響かない様に走って保健室へ向かった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「何で、こんな……」
「俺が知るかよ」
「僕、空ちゃんに何もしてあげられなくて……」
「んん」
「空/ちゃん!」
「……保健室?」
目覚めた空は辺りを見回し、此処が保健室だと認識した。双子の兄と友人の炎真、シャマルが居ると分かると俯いた。
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