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キセキの秋桜
12


「あれ? 空は?」

「空ちゃんに声を掛けてからは、分からない。ゴメンね」

「エンマが謝る事ないよ。それにしても可笑しいな……先に来てる筈なのに……」




綱吉の言葉に炎真は何故だか急に不安と嫌な予感がした。綱吉もまた同じだったらしく、段々と顔が青ざめていた。

二人の頭の中で警報がガンガンと鳴り響いていて、綱吉はもう一つ、超直感が何かを告げている。はっきりと何かまでは分からず、モヤモヤしてしまう。




(空……!)

(空ちゃん……)




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




ドカッ

ドスッ




「が、ぁ……」

「君、やり返す位したらどうなの」

「ハァ、ぅ、」

「つまらないね」




ドスッ

ドカッ

ボキッ




「うっ……ガハッ……」

「君の兄みたいに抵抗して来なよ」




グリッ




「う゛っ……」

「本当に気に入らないね」




学校の死角にあたる場所で空は一方的に暴力を受けていた。風紀委員長の雲雀に冷めた表情と加減を知らない暴力とストレス解消と言わんばかりに。

彼女自信の心に傷を付け続けているとも知らずに。彼女の変化など知らないと言った様に。




(痛い……苦しい……辛い……助けて、お兄ちゃん…リボーン君……炎真君……クロームちゃん……京子ちゃん……花ちゃん……皆……助けて……)




ドゴッ




「ぁっ……」

「ふん。飽きた。それ、どうにかしておいて」

「分かりました」




(結局誰も信じてくれない。結局誰も助けてくれない。じゃあ私は誰を信じたらいい? そうだ、信じなきゃいいんだ。そうだ信じたらダメなんだ。信じなきゃいい。もう誰も、誰の事も信じない……信じたりしない!)




その瞬間は、一瞬だった。空の瞳から光が消え無表情になり、心も閉ざした瞬間だった。

雲雀の行った行為が、空を一瞬にして変えてしまった。




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