キセキの秋桜
11
(早歩きで来てよかった……。獄寺君と山本君に会わなくて済んだ)
「順番に並べ」
無意識に早歩きになっていたのか、何時の間にか並中に到着していた。
そして、着くや否な周りから陰口が聞こえてくる。
「アイツ来てるぜ」
「懲りない奴」
「よく来れるよね」
「反省してるの?」
「居なきゃいいのに」
「その内罰を受けるって」
「……。
(やっぱり私が悪者なんだ。何もしてないって言っても信じてもらえない。誰も信じてくれない)」
「よし、次」
「はい」
服装検査中も考え事をしていた空は、何時の間にか検査も通り、校舎へ歩いていた時誰かに声を掛けられた。
「空ちゃんおはよう」
「あ……炎真君、おはよう」
「元気無いみたいだけど……大丈夫?」
「大丈夫だよ。私は元気」
「何かあったら、僕に言ってね?」
「うん」
話し掛けた相手は炎真だった。彼もまた、空の味方だ。
だが、炎真も綱吉と同じく迂闊(うかつ)に手が出せなかった。話し掛ける事は出来たとしても、助けてやれない事に時々罪悪感に苛(さいな)まれる事があった。
それは、綱吉やリボーンやシモンファミリーやクロームや京子達も同じ気持ちだ。
─教室─
「おはよう」
「はよ」
「ケッ」
「おはよう、ツナ君」
「ツナ君おはよう」
教室の中は何時もと変わらなかった。クラスメイト達の話し声、笑い声、他愛ない話、ふざける人、さしていつも通りの朝の風景。
ただ、このクラスに一人だけ居ない人物が居た。
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