キセキの秋桜
10
「そういえば今日って……」
「風紀委員の服装検査日だったと思う」
「そうだ! 忘れてた……」
「私と一緒なら、大丈夫だよ。お兄ちゃん最近遅刻してないから」
「そう言われたら、そうか。空には感謝しなくちゃ」
「お兄ちゃんがもう少し早起きしたらいいんだよ」
何時もの様に兄妹で他愛ない話をしながら、通学路を歩いていた。並中の人や帝光中の人達が他愛のない話をしたりしながら歩いている。
朝の日常で、少し不思議な光景でもある。
「そう言えば、並中の近くに帝光中があるんだっけ」
「帝光中?」
「うん。バスケ部が強い学校なんだって」
「バスケ部?」
「確かキセキの世代っていう人達が居て、その人達が物凄く強くて、バスケが上手いって聞いた事ある」
「へぇ〜」
空はふと、この前の事を思い出していた。あの時ぶつかった人、ぶつかった人の傍に居た背の高い人達と女の子、自分の着ている制服と違う制服、超直感が働いたのか、今思えば確かに何かスポーツをしている人の独特な雰囲気があった。
(あの人達は帝光中の人達だったんだ。ぶつかった人、大丈夫だったかな……)
「凄いよね」
「うん、凄いね」
「空は、何か部活しないの?」
「しない。私も鈍臭いとこあるもん……」
「オレに比べたら、まだいい方じゃん」
「そうだけど……」
(今更って感じもするからなぁ……。それに、お兄ちゃんが心配なんだよね)
「十代目〜」
「ツナ〜」
「あ、獄寺君と山本」
「お兄ちゃん……私先に行くね」
「あ、うん」
まだ遠く距離はあるが、獄寺と山本の綱吉を呼ぶ声に綱吉と空は歩みを止めた。綱吉は何処となく嬉しそうにするが、空は何処となく嫌そうな、気まずそうな顔をした。
兄に迷惑を掛けてはいけないと思ったのか、一言残し空は早足で学校に向かった。
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