キセキの秋桜 9 「ママンお腹空いたぞ」 「ふぁ〜」 「ご飯出来てるわよ」 (ママは何時もと変わらないのに……何でビアンキさんに平手打ちされたの?) 席に座るも、さっきの出来事が余程ショックだったらしく、考え中をしていてか朝食に中々手をつけなかった。 「空? 如何したの? (あれ? 空パンだけ?)」 「え? あ、何でもないよ!」 「(なんか様子が変、だよな? 元気ないみたいだし……)」 「……ご馳走様」 朝食を食べ終え、奈々からお弁当を受け取るとスクールバックに詰めて、洗面所へと向かった。 「空、なんか元気ないね」 「そう? 空ちゃん何時もと変わらないけど」 「私には関係無いわ」 「左頬、少し腫れてたな」 (誰かに叩かれた? だとしたら朝から誰に?) (ママンでは無いな。ビアンキか?) 元気のない空に綱吉とリボーンは、少し気になっていた。さっきまでは元気だった筈なのに……と。 「冷たい……でも、冷やしておけば少しだけ腫れてるのも、ましになるかな」 (ビアンキさん、加減してくれたみたいでよかった……って、叩かれたのによかったはないか……) 暫く頬を冷やすとまだ薄(うっす)ら赤い頬の腫れは引いていて、洗濯籠(かご)に冷やす為に使ったハンドタオルを入れ、リビングにスクールバックを取り戻った。 ガチャ 「大丈夫?」 「うん、大丈夫! 時間だから、お兄ちゃん行こ」 「あ、うん」 「「行ってきます!」」 奈々達は行ってらっしゃいと返事を返すと、各々のやる事をやり始める。これが沢田家の日常だ。 その日常が今日この日、消え去ろうとしていた。 この時の綱吉は、頻(しきり)りに超直感≠ェ働いていた。本人も分かる程の嫌な予感と言う形で。 そして、誰も気が付かない。 ──空の心が閉じられ様としている事に……。 [*前へ][次へ#] |