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愛があればラブイズオーケー!



「…えっと」
「なんでアンタがいるんですか、美丞大狭山のコーチ」
「隆也に呼ばれたからな」
「たか…っ!?」
「…なんでですか」
「さぁ?隆也が呼んだから隆也に聞けよ」
「よく来れましたね」
「ちょ、巣山年上…っ!」
「だって美丞戦で阿部ケガしただろ」
「俺は関係ないだろ」
「反省する気あるんですか」
「反省するもなにも、今は誠心誠意隆也のこと愛してっからな」
「それは俺も負けません」
「(胃が痛い…!)」


なんでこんなことになっているのかわかんねー…。

昨日、俺は阿部にメールをもらったんだ。
家に来てくれ、と。
そしたら阿部の家の前で巣山に会った。(俺だけじゃなかったと残念だった)
それで阿部の案内で家に入ったら、これだ。
なんで美丞大狭山のコーチがいるんだよ阿部…!


「三人ともあの…って、何睨み合ってんですか!」
「「「…!」」」
「巣山、なに怒ってんだよ」
「いや…」
「呂佳さんも!」
「わりー…」
「花井も止めろよな」
「ご、ごめん…」


と、そこに阿部が登場。
むーっと頬を膨らまして俺たちを見る阿部は、新妻さながらのエプロン姿で。
…ってオイ!なんでエプロンだよ!?


「…隆也」
「?」
「なんで俺たちを呼んだ?」
「…そーだ、なんで三人も呼んでんだよ」
「え、っと…」
「(二人とも阿部のこと睨みすぎだろ…)」
「料理…教えてもらおうと、思って…」
「料理?」
「…はい」
「料理はいいとして、別に三人も呼ぶ必要ないだろ」
「多い方がいいかな、って」
「ふーん」
「だとしても、そういうのは先に言えよ」
「すみませ、」
「準備とかあんだろ」
「…っ」
「(あぁ、もう阿部泣きそうじゃねーか)」


巣山と美丞のコーチ(呂佳さん?)に怒られて、阿部はすでに半泣きだ。
二人して怖いっての…。

そりゃまぁ、俺だって急に言われてびっくりした。
でも阿部のお願いだし、別にイイと思うけど。


「阿部」
「…は、ない」
「何作りたいんだ?」
「教えて、くれんの…?」
「当たり前だろ」
「迷惑…じゃねー?」
「全然?」


涙目の阿部の頭をポンポンと撫でれば、それは嬉しそうに笑った。(ついでに二人の視線を痛いほど感じる)
俺って、こういうときホント役得だと思う。
ほら、怒ったりするのも愛なら、甘やかすのも愛だろ?


「俺、阿部に料理教えますけど、別に帰ってもイイですよ?呂佳さん、と巣山」


…なーんて、二人に意味もなく牽制をしてみる。
この二人が帰るとはまったく思わねーけどな。


「…しょうがねーな、教えてやるよ」
「巣山…」
「…今回だけだぞ」
「呂佳さん…」
「よかったな、阿部」
「っ、うん」


ぐしぐしと目元を拭うと、ありがとう、と俺たち三人に向かって言った。
うわ、和む。
和む…けど、な。
勝負は、こっからだろ。


「で、何作る?」
「あ…決めてなくて」
「包丁使うヤツは禁止な」
「え」
「指ケガしたらダメだろ、だから禁止、絶対だ」
「う…」
「あ、だったら火使うのもダメな、オーブンとかならいいけど」
「…」
「(それじゃあほとんど作れねーだろ…)」
「それ以外でな」
「なに作りてー?」
「…それじゃ、あ、つくれ…ないっ」
「でもダメ」
「…〜〜〜っ」
「…阿部、ほらクッキーとか作ろうぜ、簡単だし」
「クッキー…?」
「そ、すぐ出来るし、な?」
「…」
「まず簡単なのからやって、そんで次行こーぜ?」
「……うん」
「(なんとかなった…)」


こうして、二人の無茶な要望と阿部の希望をなんとかした上でクッキーを作ることに決まった、のだが。


「うわっ、バッカ!どんな混ぜ方してんだよ!」
「え、ぇ?」

「おま…あー違う!厚さ均一にしないとダメだろ!」
「あ…あれ」

「阿部、オーブンはな、あらかじめ熱くしておくんだ、覚えとけよ?」
「へー…」


焼くまでが、長かった…!
阿部は気付くとあらぬことをしだすので、見張ってないと危ねーんだ。
くそ、この超絶不器用め!
かわいいから許される、ってそのとおりだ畜生!


「できた…!」
「(やっとだ…)」
「(料理がこんなに疲れたの初めてだっての…)」
「(あーもう阿部、子供みてーに喜んじまって)」
「へへ…、はい!」
「「「は?」」」
「プレゼント、今日のお礼ってことで、クッキー!」
「う、お」
「マジでか」
「ありがとな、阿部…」


無邪気に笑った阿部は、俺たちにクッキーを差し出してくる。

見た目は、なんとか合格。(ちょっと焦げてるけど)
問題は味だ、味。
阿部はフツーに作ったハズなのに、味が大変なことになってたりする。
だから怖いんだ。
阿部、恐ろしい子…!


「ん」
「ぐ」
「う」
「どーだ?」


キラキラと目を輝かせている阿部には残念だが、このクッキー、


「「「(むちゃくちゃしょっぱい…!)」」」





があればラブイズオーケー!

(どうしたらこうなる)
(でもやっぱりかわいいから許しちまう!)





「…?」
「(くそ、なんて言ったらイイんだ…)」
「(塩か?コレは塩を入れたのか…!?)」
「…うん、阿部、よく頑張ったなー」
「へへ、よかった」
「次はもっと頑張ろうな…」
「ん!」
「(花井…!)」
「(すげー…!)」



―――――
呂花巣+阿部の料理教室^^
炯さんのすばらしきリクをなんというものに…!
しょっぱいって、どんなだっていう(黙れ)
申し訳ない、書き直ししますからねー><記念に捧げさせていただきます。
炯さんだけお持ち帰り可となります。




あきゅろす。
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