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結局はそれでいい



水も滴るなんとやら。

目の前の人物は、本当に男前だと思う。
気取っていなくて、さりげなく気が利いて、センスもあって…俺にはもったいないくらいなんだ。
そう思いつつ、じっと巣山を見つめた。


「もっと水くれー」
「おー!」


運動すると暑いのでたまにみんなで水浴びをする。(今日は俺はまだだ)
巣山ももちろん。

惜し気もなく曝け出された上半身に思わず魅入る。
巣山、筋肉がすっげー整ってるんだ。
たくましくて、それでいて締まってるっつーか。
俺もあんなふうにこう、がっしりしてーなー…。


「阿部?」
「!」
「浴びねーの?」


声をかけられ、ハッと気が付くと、巣山が俺を見て笑っていた。
どうやらかなり見惚れていたらしい。


「俺のこと見てた?」
「べ、別に見てなんかっ」
「見てた、よな?」
「…っ」
「アレ、俺に見惚れてたんじゃねーの?」
「…」
「…田島、ホース貸して」
「え?あぁ、ハイ!」
「サンキューな」


ぺたぺたと素足の巣山が、水の出ているホースを持って俺に近付いてくる。
そして、予想通り俺に水をぶっかけてきた。


「っひゃ、冷た…っ」
「お仕置きな」


そう言いながら、バシャッと水を頭からかけられ、俺は服ごと水浸しだ。


「なー、阿部」
「な…にっ」
「阿部って、ホント素直じゃねーよな」
「〜っ、ちょっ、どこから水かけ…ひっ!」
「素直に見惚れてた、って言えない?」
「や、巣山っ…」


巣山は首筋をツーッと撫でると、そのまま服の襟から水を流し込む。
一気に身体に水が触れて、鳥肌が…っ!


「な、阿部言えるよな?」
「!すや…っ」
「ま、言わないで、ずっとこのままでいる?」
「なっ…!」
「あ、俺が素直な子と付き合えば言わなくていいのか」


別れた方がいい?
言葉には出さないが、口の動きだけでもそう言ったのがわかる。

その瞬間、グッと心臓が鷲掴みされて、血が逆流したような感覚。
水の冷たさなんかわからなくなるくらいに、身体が熱くなる。


「…や、っだ」


自分でも呆れるくらい簡単にじわっと視界が歪む。
巣山は好きな人からの言葉の破壊力ってもんを知らない。


「み…れ、てた」
「…」
「巣山に、見惚れてた…っ」
「…」
「だ、からっ…」


情けなくても、かっこわるくてもいい。
俺は巣山がいい。

流れる水に混ざった俺の涙はボロボロ零れる。
その頬に、優しく、巣山の手が触れた。


「ったく、泣きすぎ」
「うえ…っ」
「冗談に決まってんだろ?ホント阿部ってからかいやすいよな」
「う、う…〜っ」
「あー、ごめんごめん俺が悪かったって」
「いじ、わる…っ!」
「だって阿部かわいくて」
「理由に、なって、ない!」


キッとにらんだら、ソレもかわいい、とか言う。

こうなる予感はしてた、もちろん。
だって巣山だからな。
いくら男前でセンスがあっても、これだけはどうにかしてほしい!

…だけど、わかってても、好きだからこうなっちゃうんだよな…。





結局はれでいい

(愛し愛され)
(これが二人のカタチです)





「巣山の、アホ!」
「うん」
「も、やめっ」
「まだいいじゃん」
「冷たっ…、ひゃ、あっ…バカやろ!」


「ハイ、俺ら空気!」
「ホース返してほしいなー」



―――――
わたしは巣山をどうしたいんだろうか^^
椎葉さん、やっぱり阿部を泣かせるってなったら巣山でした、Sで(笑)←
こんなのになっちゃってすみません!;記念に捧げさせていただきます。
椎葉さんだけお持ち帰り可となります。




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