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シャイボーイは今日もご立腹



「…よぉ」
「…」
「どーしたよ、阿部」


昼休み、田島たちと購買に走ろうとした俺の目の前に立ちふさがった影。
俯いたままじっと立つ阿部がいた。


「阿部?」
「…ん」
「あ?なんだよコレ」
「…弁当」
「え」
「泉、今日は弁当じゃねーって言ってたろ」
「まぁ、そーだけど」
「だから仕方なくお前の分も持ってきてやったんだよ」
「…マジか」
「マジだよ、…じゃ、俺教室戻るから」


そこまで言うと阿部はサッと踵を返そうとした。

いやいやいや、待て。
急になんだ、そして一度も俺の顔見てねーし。
でも、耳は真っ赤だ。
照れてんのか、まぁきっと俺のために母親に頼んだんだろうし…当たり前か。
…クソ、なんだこのかわいい生き物は!
このまま帰らせるなんて、俺がするわけねーだろ!!


「コラ阿部」
「っ」


ぐっと阿部の腕を引き寄せれば身体は止まったが、まだ下を向いたままだ。
恥ずかしさからか、身体がプルプル震えている。
持ち帰りてー…。


「田島ー、俺今日阿部とメシ食うわ」
「な!?」
「おーわかった!」
「うし、行くぞ」
「ちょっ、泉待っ…!」
「待たない」
「っ、ざけんな!」


田島に断りを入れてから有無を言わさず阿部の手を握り歩きだす。
ぎゃいぎゃいと騒いでいるが無視。
途中七組に阿部の弁当を取りに寄る。(花井も水谷も驚いていたが気にしない)
やっぱ…人が来ないのは、部室、だろうか。





「…俺は、別に泉と弁当が食べたかったわけじゃない」
「はいはい」
「むしろ花井と水谷と食べたかった」
「いただきまーす」
「つか泉以外なら誰でも「つべこべ言わず食えよ」
「う…、でも」


部室についても阿部はグダグタ喋っていた。
しかも未だに俺を見ない。
俺が弁当に口をつけようとしても喋り続けた。
…恥ずかしいからって、いつまでやってんだ。


「…阿部」
「!」


悔しいので思いっきり至近距離で顔を覗き込む。
そこでやっと目があった。
予想通り真っ赤に染まった顔で、阿部は慌てる。
その顔はその顔でイイなと思う俺は末期だ。


「い、ずみ…、近っ」
「阿部」
「な…なんだよ!」
「弁当、ありがとな」
「!」
「阿部が俺を気にしてくれてて、嬉しいぜ」
「〜〜〜っ!」


そう囁いて、ちゅ、と唇にキスを落とせば、阿部はさらに顔を真っ赤に染めて、バッカじゃねーの!と叫んだ。
やべ、阿部が喰いたくなってきたかも…って俺危ねー!





シャイーイは今日もご立腹

(日常茶飯事照れ隠し)
(怒った顔もかわいいな)





「た、ただシュンの弁当が今日いらなくなったから持ってきただけだっつの!」
「それでもいいけど?」
「嘘つけ!」
「あ、うめぇ」
「…っ、せいぜい感謝して残さず食えよな!」


ふん、と顔を反らした阿部もやっぱりかわいい。



―――――
アレ?泉…(゚∀゚;)?
あの、べった甘を目指したらこんな結果に…ツンデレを履き違えた感がありありです←
阿部ってば嘘吐くのヘタ←
ちひろさまリクでした!
ちひろさまだけお持ち帰り可となります。




あきゅろす。
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