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02



ごめんなさい。

いつからか、これが元希さんといるときの口癖となってしまった。
オワリは見えない。


「タカヤ!てめーふざけんじゃねーぞ!」
「ごめ、なさ…っ」


元希さんと付き合い始めたのは、シニアの頃だった。
この関係のハジマリは、元希さんの気まぐれ、って言ってもきっと間違いじゃない。

『お前俺のこと好きなの?』
『…!』
『いいぜ付き合っても』

好きだった。
だけど叶わないと思ってた。
だから、すげー嬉しくて。
たとえ元希さんの暇潰しだとしても、付き合えるだけでいいと思ったんだ。

一緒に帰ってくれたり、元希さんの家に遊びに行かせてもらったり。
キスだってした。
子供同士のくだらないものでも、俺には全部が宝物で。
俺の一言で笑ってくれる元希さんが嬉しかった。
幸せだった。
それ以上望むものなんかなかった。

でも、今は、あの日の面影なんて何も残ってない。


「ごほっ…うぇ、っ」
「なんなのお前、呼んだらすぐ来いって言ったよな?」
「ごめん、なさい…っ」
「勝手に違う高校行って、挙げ句の果てに俺の言うことも聞けなくったのかよ!?」
「っ…!」


きっかけはシニアでの試合のことだった。
相手チームのピッチャーが元希さんに当たりそうな球を投げたことから。

身体を何よりも大事にする元希さんが怒ったのは当然のことで。
…なんとかその場は丸く治まったが、その日元希さんの家に行った俺は、元希さんの怒りの捌け口となった。

その日から、ふとしたきっかけで俺は暴力を奮われる。
元希さんの怒りを、全部この身体で受けとめる。

それが、俺の今。


「アレか?新しい学校で男でも見付かったか」
「ち、が…!」
「お前ホント軽いもんな、サイテー」
「〜っう」
「泣くのか、泣いたら許されるとでも思ってんのか!」
「…ぐ、っ!」


一度は、逃げ出した。
元希さんと一緒にいたってこの人は俺を壁としか思っていないし。
だから西浦を選んだ。

だけど結局、俺は元希さんの側に戻ってきてしまった。
自分がそれでいいと言った結末がこれだ。
情けなくて、涙がでる。

最初からこうなることは予想出来たっていうのに。





本気じゃないと知っていた、だけど、それでも愛していたかった。





初めて本気で好きになった人だったから。
元希さんも、少しは俺のことを好きでいてくれたと思ってたから。

もう、俺にも、元希さんにも“愛”は存在しないのに。




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