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代えられないモノがある



もし、明日、世界が無くなるとしたらどうします?

なんて、俺の目も見ずにタカヤはそう呟いた。
俺は急に言われたその言葉の意味がわからず固まったが、タカヤは黙々と雑誌に目を向けている。


「………は?」


しばらくしてやっとのことで一言を紡ぐと、タカヤは呆れたようにため息を吐いた。


「だから、例えばの話です」
「例えば?」
「明日で地球が滅びたらどうしますか、って」
「はぁ?」
「人類が全員消えちゃうんですよ、何がしたい、とかあるでしょう」


…ホントに、急にどうしたんだコイツは。
こんな、例えばの話とかするヤツだったか?


「…」
「なんもないんですか?うっわー」
「なっ…!急に言われて思い付くわけねーだろ!」
「別になんでもいいじゃないですか」


俺が非難の声をあげると、タカヤはペラペラと雑誌をめくりながら笑っていた。

もしも明日、世界が終わったら、ねェ…?
つまりは今日で最後だっつーことだろ?
最後に俺がしたいこと…。


「…」
「思い付きました?」
「………タカヤといる」
「はい?」
「タカヤといたい」
「…!」
「タカヤと飯食いてーし、タカヤと風呂入りてーし、タカヤと野球してーし、タカヤを抱き締めてーし」
「…二番目おかしいでしょ」
「俺は、最後にタカヤといられるならそれでイイ」
「…」
「つーか、タカヤ以外いらねーもん」


心からの本心を告げる。
だってそう思っちまったもんはしょうがねー。
一番最初に思い浮かんだのがタカヤのことだったんだ。

タカヤはというと、俺の言葉に驚いたのか、手が止まってしまっていた。
…つーかコイツ、今日俺の顔見ねーよな。


「…タカヤ」
「っ!」


タカヤの顎を掴み無理矢理に俺の方を向かせると、そこには顔を真っ赤にしたタカヤがいた。


「急にお前、どーしたわけ」
「…」
「タカヤ?」
「…俺だって、元希さんと一緒に、いたい、です」
「!」
「でも、アンタのことだからどーせ、プロのところに野球試合申し込む、とか」
「…」
「アンタの一番は、野球だって思ってるから」
「ん」
「俺の名前なんか、出るわけないって」
「…」
「いつも俺ばっかりが好きだって、思ってた、のに」
「…のに?」
「急に、そんなの…ずるい」


そう言うとタカヤはぷいっと顔を背けた。
だけどその顔は耳まで真っ赤なままで。

タカヤはタカヤでなんか不安だったんだろうかとか思ったけど、それ以前に、タカヤからの思わぬ告白にニヤける俺がいた。
だってよ、タカヤからの好きとか貴重だろ。


「お前、実は俺のことすっげー好きなんだな!」
「…バッカじゃないですか、触んないでください」


ぐしぐしと頭を乱暴に撫でれば、ペシッと叩かれる。

あぁもう、確かに野球は好きだし大事だ。
だけどそれと同じくらい、もしくはそれ以上に。


「俺はタカヤのことすっげー好きだけど?」





えられないモノがある

(世界で一番大切な)
(俺のコイビト)





「…へー、そうですか」
「(くっそー…照れてるタカヤもかわいいな)」
「なんすか、ジロジロ見ないでください」
「…よし、タカヤ」
「はい?」
「一緒に風呂入んぞ!」
「はあぁ!?」
「世界なんていつ終わるかわかんねーからな!」
「意味わかりませんアンタ本気でバカですか!」
「行っくぞー!」
「っ、わ!ちょっ…下ろしてください元希さん!」
「下ろさねー!」



―――――
ちゃんと榛阿を書いた結果がコレだよ/^q^\
次はバカな榛名を書きたいでございます(聞いてない)
風呂…書いてみたいけどあはははは←笑




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