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繋がるオモイ



※高二な花阿(文系と理系でクラスが違います)



「(眠いなー…)」


あまり好きではない数学の授業は、いつも眠気と戦うのに必死だ。
前の黒板に意識をやるが、どうも文字がぼやける。
ダメだ、集中できない。


「(………ん?)」


ノートをとる手を休め、ふとクラスに視線を巡らすと、目に入った後ろ姿。
いつもなら、せっせとノートをとっている花井が、今日は違った。
視線を窓の外に向けたまま動かない。

花井は真面目だ。
だからこそこんなふうに授業中ぼーっとしてるなんて滅多にない。

いったい何見て…、


「(…阿部、だ)」


花井に習って窓の外に視線をやれば、そこには、クラスメイトと談笑する阿部の姿があった。
たぶん体育なんだろう。

…なるほど、ね。
だから花井の表情も、なんかこう、甘ったるいというかなんというか。
でも少し寂しそうなのは気のせいじゃないと思う。

だって去年まで、その阿部の隣にいたのは、花井(と水谷)だったから。

二年生になってクラスが変わって。
俺や花井は文系クラス、そして阿部は理系クラス。
いつも見慣れていた二人の並ぶ姿は、今ではほとんど部活でしか見ることはない。
俺が一番違和感を感じてると思う。
阿部のポジションに、俺がいるんだもん。

隣にいるのが、あまりにも自然すぎて。
まるで、最初からずっと二人で一緒にいたみたいに、当たり前すぎて。
変化に、俺はまだ慣れることができない。
愛しそうに阿部を見るその目は、変わらないけれど。

…って、俺はなんで人の恋について考えてんのさ。


「(…あ)」


じっと花井を見ていたら、柔らかく微笑んだ。
阿部が、花井の視線に気付いたらしい。
よく見えないけど、阿部も笑ってるみたいだ。
なにそのアイコンタクト。
喋らなくても、思ってることは伝わる?みたいな?
…オアツイことでねー。

あー…もう。
しょうがないな、とノートをとる手を再開させる。
花井はこの時間、どうやらずっと阿部を見てそうだし。
離れて寂しいんだ、ということにして。
貸し作っとこう。

まぁ俺も、二人には幸せであってほしいし、ね。





がるオモイ

(たとえ離れても、そばにいなくても)
(愛しさは変わらない)





花井は、自分だけが寂しいとか思ってるんだろうな。
阿部ってあんまり表情とかに出さなそう、っていうか強がるし。

だけどきっと、花井は知らないんだ。

廊下ですれ違うたびに、阿部が何度もこちらを振り返っていることも。
わざわざ、俺たちのクラスに物を借りに来てることも。
クラスの前を通るとき、誰かと話す花井を見て寂しそうにしてることも。
それに、去年に比べて俺たちだけのミーティングが増えてるってことも。

寂しいのは、二人とも一緒なんだよ。
気付け、バカ。



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コレ書いていて思いました、わたし未来パロ好きです←




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