ホントは、
夢を見た。
無音の真っ白な部屋の中に俺はいて。
他に誰がいるわけでもなくただ、鏡があって。
俺が、映ってたんだ。
でも…俺じゃなかった。
だって、鏡の中の俺は、泣いてた。
小学生が泣くみたいに、わんわん泣いて。
そんなの絶対俺じゃねーじゃん。
だから気持ち悪くなって。
そもそもその俺が泣きながら変なこと言うし。
そーいや俺、なんもしゃべんなかったな。
あ、俺って、この俺な。
えっと…、何話してた?
…あぁそう。
つまり、その夢が頭に残りすぎて、ぼーっとしてた。
だるいのもその夢のせいで寝付けなかったから。
以上、俺の話は終わり。
「………で?」
「で、じゃねーよ」
「それだけ?」
「お前がぼーっとしてる理由を話せって言うから話してやったんだろハゲ」
「そうだけどよ…」
「言ったからいいだろ」
「…まぁ」
「心配性の梓ちゃんはなにが不満なんだよ」
「梓ちゃん言うな」
目の前のハゲ、花井は不満げに顔を歪めている。
悪態をつく俺に、はぁとため息をついて、ポンと頭に手を乗せられた。
「…なに」
「夢ってさ、深層心理とか表れんじゃねーの?」
「知らね」
「よくわかんねーけど、阿部は泣きたいくらい何かに悩んでんじゃねーの?」
「…別に」
「少しは頼ればいいだろ、話くらい聞くぞ?」
そう言って、ぐしゃぐしゃと俺の髪を掻き乱す。
花井にとっては、妹にするような何気ない行為。
だけど、俺には、
「…」
「阿部?」
「…んだよ」
「お前ホントに今日おかしいぞ?具合悪いか?」
「ちげーよ…」
今度は体調の心配までしてくるコイツは、俺の見た夢の話なんか知らない。
ただ純粋に、俺を、心配してくれてるだけなんだ。
嬉しい、けど、苦しい。
くるしい、くるしい。
今にも胸が詰まって死んでしまいそうだ。
「まぁ、ありがとう」
「うわー心こもってねぇ」
「いやいや、真心こめたぜ梓ちゃん?」
「だから梓ちゃんはヤメロっての」
俺が笑えば、やっと少し納得したように花井も笑う。
ごめん、俺は、お前に嘘ばかりついてお前の笑顔を保ってるんだ。
夢を見た。
無音の真っ白な部屋の中に俺はいて。
他に誰がいるわけでもなくただ、鏡があって。
ホントの俺が映ってた。
泣きながら叫んで。
柄じゃねーけど、それでも俺は、泣き喚き叫んだ。
花井が、好きだって。
ホントは、
(お前が好きだって)
(泣きたいくらい、叫びだしたかったんだ)
叶わないのがわかっているから、余計、好きになる。
どうして、お前なんだ。
―――――
夢云々はアバウトです←
…最初がコレって(殴
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