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■ 9

「っ……そんなとこっ…触るなっ! ……っく、ぃったっ……」
「そう? 無理には入れてないから、痛みは無いんじゃない?」
「今の時点で……もっ…無理だって……ぅ…あ……わぁっ!」

また背に冷たいローションが降り注ぎ、高浜はビクンと肩を跳ねさせた。
今度は先程よりも量が多く、背中の上だけでは受けとめきれなかったようで、溢れた液体がゆっくりと身体の両脇をつたって落ちていく。
その肌をつたう感触が何とも言えず気持ちが悪く、彼は振り払うように身を捩る。
だがそれは逆効果。
動けば動くほど垂れ落ちる量は増え、透明な滝が腰から胸元にかけて幾筋も連なった。
下肢では細い指がくちゅくちゅと粘度の高い水音を鳴らしながら、後孔の入り口を弄くりまわしていた。
まるでそこがいつかは綻び、自ら迎え入れてくれるのを待つように、けっして中へ別け入る動きは見せない。
ただ淵を指先で突つき、周囲を揉み、時折ふっと息を吹きかける。
それだけ顔を近付けて見られているのだと、高浜は意識し、カッと羞恥に顔を熱くした。

「なんで、尻なんて触ってるんだっ!」
「えっ、まだ解らない?」
「何がっ……っん、はぁあっ……」

俯き顔を顰める高浜の視界に、突如横から伸びる太い腕が映った。
上向きに広げられた浅黒い手は青年の背から滴り落ちる透明な粘液を手の平で受けとめ、そのまま脇腹へ押し付けてくる。
ねちゃり。
そこを始点に、手は高浜の肌を辿っていく。
まずは周辺の薄い皮膚を。
次いで腹へと移動し、手の中へ溜めた粘液を綺麗に割れた腹筋の一つ一つへ丹念に塗り込むように撫で始める。

「あ、あんたまでっ……なんでっ……っく……やめっ……ぅああっ!」

どんなに高浜が拒否の言葉を口にしようが、構わず本郷の手は動き続ける。
青年はヒクヒクと上半身を揺らしながらも、傍らにいる男を気丈に睨みつけた。
だがくすぐったげに身を捩っていた身体が、不意にビクンと強張り止まる。
それが森川の所為だという事は、当事者である二人だけが解っていた。

「うん、今の良い感じ。本郷さん、ナイス」
「っあ……そん…な……っ……抜けっ……抜っ…っんぅううっ……」

本郷の愛撫に気を削がれた隙に、森川の指が後孔の中へ潜り込んでいた。
まだ半分ほどではあるが、それでも異物を受け入れてしまった衝撃に、高浜は頭を頻りに振り被る。
意識すればするほど指を締め付けてしまい、知りたくもない他人の指の形を内部で鮮明に感じ取ってしまう。
しかも森川はキツくなった内部で指先をぐにぐにと動かし、早くここの力を抜けと訴えて来る。

「ぅやぁっ……ひ、広げ…るなぁっ…ぁ……はぁっ……」
「そうそう、そっちに集中してて……っと、ほらまた少し入った」
「ぐっ…ぅ……」

奥へ向かって突き進む指先を押し止めたい。
だが下肢へ意識を向けようとする度に、腹や胸を這いずり回る男の手の動きに乱される。
ローションに塗れた手の平はぬるぬると表面を滑るが、所々で力強い指が指圧するように筋肉を刺激した。
そうかと思えば一転、触れるか触れないかの微妙なタッチで皮膚をくすぐられ、その緩急に高浜は翻弄されてしまう。
胸元へ向かった手の平が左胸を覆うように揉み、指先が何故か乳首をすりすりと執拗に捏ねる。
何故そんな所を、と訝しむのも刹那、淡い性感が滲み出し、青年は上擦った戸惑いの声を発した。

「ぅあっ……それっ……な、んでっ…っんぅ……」

つんと主張し始める乳首を、もっと際立たせるように、男の指が摘んで下へ引っ張る。
左、右、左と交互に何度も繰り返され、その度に腰がヒクッと小さく跳ねるのを止められない。

「や…めっ……っあ、あぁっ……はっ、はっ……」

ぬちゅ、ぬちゅ。
どんなに上体をくねらせても、狙いを外さない本郷の左手は的確に左右の胸の尖りを捉え、虐め続ける。
空いた右手は万歳の格好で固定された青年の、がら空きの脇の下を、これまた左右交互に擦っていた。
ますます怪しい感覚に息を弾ませる青年。
その後孔に埋まる指が、よりいっそう深く埋め込まれた。

「んぁあっ!」
「ね、あっという間に一本、根元まで呑み込んだ」
「……っは、あ……う、嘘だっ…っ……んぁ………」
「自分でも解るでしょ? ほら、こんなに奥まで届いてるよ〜」
「……っ、ぁ……動く、なぁっ………はっ……胸…もっ……そ、れっ…やめっ……っ…ぅ……」

尻たぶをぴったり密着した拳で押され、全て咥えこまされた指で、自分でも触れた事など無い身体の奥深くを弄られる。
横にいる男は相変わらず胸や腹や脇腹を撫で続け、じんわりと甘い熱を送り続けていた。
どんなに高浜が怒鳴っても、全身を揺らしても、二人の手は身体から離れず、一秒も止まらない。
それは抵抗を続ける彼の意識を少しずつ挫いていった。


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