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■ 5

「宴の始まりだ。お前もたっぷりと楽しむが良い」

ブルガンによって羽交い締めされた体に、赤い触手が巻き付いた。
シュルシュルと首元から這い進み、胸元へ辿り着いた先端が、再び薄ピンク色の粘液を吐き出し始めた。
薄く体に張り付いたメタリックホワイトのパワースーツは、動きを邪魔しないよう柔軟に伸び、一見すると脆い布地で出来ているようだが、そんな事は無い。
ある程度の衝撃にも耐えれるように特殊金属を含む繊維で作られていて、並大抵の攻撃を受けてもキズ一つ付かない。
それなのに。
ジュッ……。
粘つく液体を塗り付けられた途端、触れた場所が溶けるように消え失せていく。
それでいて、その下の素肌には何も影響は無い。
ボロリとパワースーツの残骸が剥がれ虫食いのようになった所から、炎藤の陽にやけた小麦色の肌が露出していた。
晒された左胸、そして一際目をひく薄茶の乳首が湿った空気に直接触れ、ヒクリと震える。
そこを襲う太い灰汁色の触手達。
にちゃりと透明の粘液を纏わせながら、まっ先に乳首が囚われる。
細くなった先端が、まだ柔らかい粒を育てるように、くにくにと揉みしだき始めた。

「…っ……!」

攻撃されるとばかり思っていた。
だから咄嗟に襲い来るだろう痛みに対し身構えていたのだ。
しかし予想に反した触手の動きと施される慣れない感覚に、炎藤はザッと肌を泡立たせ、頭上で抑えられた手を固く握りしめた。
執拗な触手は乳首の上で止まり、先端だけを器用に擦り付け上へ下へと小さい粒を愛撫する。
その間、他の触手達はパワースーツの空いた隙間から布地を押し上げ、先を競って潜り込んでいく。

「ぐっ、ん……、くっ……このっ、離せ、っ……やめろ!」

身体に張り付くメタリックホワイトの布地がぼこぼこと触手の形に盛り上がり、じりじりと背や腹へ進んでいくのが、離れた位置で見ているリベーラにも良く解った。
炎藤は少しでも触手を振り払おうと必死で身を捩るが、腕と腰を拘束する触手の力には到底叶わない。
自由な足もパワースーツ自体の重さの所為で満足に動かせず、触手の与える刺激に僅かに震える事しか出来ない。

「…っ、なんだって、こんな……んっ…ぁ……」

灰汁色の触手に紛れ、朱色の細い触手は一本だけ違う動きをみせていた。
いつの間にか辿り着いた右胸に特性の粘液を吐き出し、左同様に乳首の周りだけ露出させる。
仕事が終われば、すぐにその後を灰汁色の太い触手に譲り、ふいと宙を滑ってゆく。

「う、くっ…、は…、何がしたい、んだ……リべーラ!」
「解らないか、レッド?」
「ふん、悪趣味だってのは、解るが、な…っ……」

詰る言葉が、脇腹を這い降りる触手の感触に途切れる。
と、無意識に捩じれた腰から、不意に巻き付いていた触手が解けた。
それを単純に敵の油断だと炎藤は解釈したのだが、そうでは無い。
少しでもチャンスは逃さないとばかりに身を捩るが、パワースーツの中に潜り込んでいた触手は邪魔が無くなったと、更に下肢へ向かって這い降り始めたからたまらない。
割れた腹筋さえも見て取れる程にピッタリと張り付いたスーツの生地が、醜い節くれだった触手の形にボコボコと浮き上がる。
よほど窮屈なのか、触手の動きは遅く、強引に作り出した隙間へと捩じ込むように進んでいく。
それは余計に炎藤の不快感を煽り、宙に縫い止められた両腕と床に付いた膝の間で、引っ切り無しに身体が揺れる。

「ぐっ…いい加減、離せ!…はぁ…、っ…ん、やめろ!」
「どうだ、気持ちが良いだろう?」
「どこが!…こんな、の…っ…、気持ち悪い、だけ、だっ……」

シュッシュッと執拗に触手の先端に擦られ、いまやすっかり芯をもち立ち上がった両胸の粒は摩擦に色を変え赤く染まり始めていた。
しかし炎藤はあまり快感を得てないのか、多少息の乱れはあるが全体的に反応は薄かった。
元から地球を救う使命で頭が一杯の炎藤は、この手の行為にあまり関心を持っていなかった。
勿論、成人男性として普通に女性との性経験はあるが、豊かだと言える程でも無く。
あくまでもノーマルな嗜好を持つ炎藤は、ここまで身体中を触手で弄られながらも、リベーラとブルガンが炎藤をそういった対象にしている事など、微塵も感じ取れていなかった。
いや、思いもしないと言った方が正しいだろう。
だからこの行為はただ身体をいたぶり、弱った所でとどめを刺すのが目的だとばかり思い込んでいた。
そしていつ油断した所を攻撃してくるのか、そればかりに集中していたのだ。

初心な思考と身体は、触手の愛撫を愛撫として受け取れず。
それを見抜いたブルガンは、ならばと触手の数を増し、本人さえも気付いていない感覚を目覚めさせようと、新たにパワースーツの上からあちこち探り始めた。


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あきゅろす。
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