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■ 7

「冗談なんだろ?ただ俺を驚かそうとして、武光の言葉にのった振りをしてるだけだよな?」
「…………」

裕史はわざと茶化す様に話し掛けながら、必死に首を捻り慎吾の顔を見ようとする。
だが慎吾は何も答えない。
その変わりに、見動く裕史の身体をより強く押さえながら、目の前に晒された赤く染まるうなじに唇を寄せた。

「……ぁ、慎吾!」
「先輩…」

ちゅっ、ちゅっ、と啄む様に口付け、ベロリと熱い舌を這わせる。
そんな所を舐められた事が無い裕史は、初めての感覚に、ヒクリと背を震わせた。
はぁ、と生暖かい息を吐きかけられ、執拗に首筋を舌が辿る。
裕史は可愛がっていた後輩にまで、そんな対象として見られていたという事実に、かなりショックを受けていた。
直接顔を見たいと思い、首を巡らすのだが、羽交い締めされている状態ではそれもかなわず。
裕史の神経が背後に集中した隙に、今度は武光の手が伸びてきた。

「おいおい、俺も忘れるなよ」
「はぁっ、………んっ!」

裕史と慎吾のやりとりを、少し離れた場所でにやにや笑いながら見ていた武光が、気付けば裕史のすぐ目の前に立っていた。
固定されている裕史の身体は逃げる事も出来ず、武光の愛撫にその身を晒す事しか出来ない。
だが無駄と解りつつ湯の中で必死な顔で身を捩った。
それが相手を増々喜ばせているとも知らず、はぁはぁと激しく息を吐き出し、自ら体力を消費し続ける。
武光はそんな裕史の身体に、ことさらゆっくりと指を這わせていった。
見せつける様に顔の前に手を広げ、裕史の視線を捕らえてから、ねっとりと胸へ置く。

「武光っ!」

怒りの篭った声が飛び、身体の周りでザバザバと湯が跳ねる。
抵抗する足をなんなく膝で押さえ付け、適度に鍛えられている左の胸を手の平全部を使って揉む様に握る。
さわさわと撫でながら、僅かに立上がりかけた小さい粒を指先で摘んだ。

「……っ!」

瞬間的に逃げをうつ身体は、しかし慎吾に背後から抱きとめられたまま動けない。
裕史は咄嗟に出そうになる声を飲込んで、唇を固く引き結ぶ。
その耐える表情がまたたまらない。
武光は裕史の顔を見つめながら、指の腹で突起を優しくこねまわし始めた。
あくまでも優しく扱えば、僅かに赤味を増したそれは、ぷくりと立上がってくる。
未知の出来事に、強張った顔で自らの胸元を凝視する裕史へとわざと見せつけるように、武光は挟んだ親指と人指し指の間から摘んだ先端を覗かせると、いやらしい笑みを浮かべた。

「どうだ。女みたいに、立ってきたぞ」

呟き、ニ本の指で押しつぶし、軽く先端に爪を立てる。

「んんっ…!」
「はっ、こうされるとたまんねぇだろ?」

武光は返事を待たずに、まだ触れていない方の乳首へも手を伸ばした。
勿論、右手の動きはそのまま、巧みに強弱を付けながら摘みつつ、左手はそっと突起の下へ指を添え、指腹で弾くように下から上へと擦りあげる。
くすぐる様な動きで、何度も何度も。
左胸に与えられる感覚で、すでにそこが快感を感じる場所だと言う事を知ってしまったからか、右の乳首が反応しはじめるのは意外に早かった。
次第に弾力を持ち始めた乳首は色味を増し、指の動きにふるふると震える。

「……っ、くっ……ぅん…」
「声、出せよ」
「誰がっ、……武光、やめっ……!」

目を眇めて武光の勝手な振る舞いに耐えていた裕史。
だが不意に武光が顔を胸に寄せ始めるのに気付き、裕史は制止の声をあげた。
その言葉を最後まで言い終える前に、武光はふるりと立上がった左の乳首を口に含んだ。

「…あ…っぅん!」

あっという間に貼り付いた唇が胸の粒を覆う。
乳輪を辿る様に熱い舌が一回りし、今度は先っぽでチロチロと突つかれる。
唇で挟むのも忘れない。
左の乳首を摘む指とは違う圧力に、裕史の顎がきゅっと上を向いた。
ぬめぬめと唾液を塗り込みながら、乳首全体を転がせば、熱い息が宙を白く染める。

「……はぁ…っ…ん……」
「裕史先輩、声、出して…」
「ふあっ……ぁ‥あぁ!」

先程とは逆で、今度は武光の動きに全神経が向いている時に、突然、耳元に後輩の声が聞こえた。
優しい声色とは真逆の要求をねだり、ついでに耳たぶをカプリと口に含むと熱い息を吹き込む。
対処外の刺激に、裕史の口は呆気無く解かれ、僅かながらも明らかに快楽を含んだ声が漏れた。
慌てて口を再び噤むが、慎吾の嬉しそうな笑い声が耳の奥に響くから。
裕史の顔がカッと朱に染まった。


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