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REBORN
己に負けて貴方に勝つ





難攻不落な砦に等しき著書の数々の先に見えるのは
愛しい愛しい貴方の姿





  ≪己に負けて貴方に勝つ≫





昼下がりと呼ばれるに相応しい刻。


視線をあげれば嫌がらせのように目の前に高く積み上げられた書類の数々。
文字は当たり前のようにイタリア語。
ボンゴレの最重要機密が印されたソレは、今だ他人との会話がやっとでしかない自分のレベルを遥に超した形で印されているわけで…

正直半分以上が理解できず、理解できている部分でさえも完全かと言われれば自信が全く持てない。

あれは確か―――中学を卒業してすぐの事だった。

ボンゴレからの通達だといって渡された紙には

「イタリアの本部へこい」

とだけかかれていた(とはいっても俺自身はまったく読めなかったのだが……


理由は明白、9代目の引退だ。
世代交代は早めにという上層部の決定が通ってしまったらしい。

そして急遽行われた10代目ボス、つまりは俺の就任式。



それからはというものの俺はボスとして必要不可欠な膨大な知識を一から叩き込まれる始末。
元々勉学の才能がないことは解っていたがまさかここまで酷いとは思わなかった。

なかでも酷かったのはイタリア語学。リボーンのスパルタ指導によりなんとか会話レベルにまで達したが読み書きに関しては壊滅的だった。



そんな俺の横でまるで通訳士のようにその難解なイタリア語をスラスラ日本語に訳して俺に説明してくれる彼こそ、真にボンゴレに必要不可欠な存在なんじゃないだろうかと最近は思うようになった。


「やっぱりボスが変わると他のファミリーが狙って来るみたいだね。こっちの報告書も似たようなものだし……。」




彼にかかれば全くもって理解できない記号の羅列もあっという間に聞き慣れた日本語へと変化する。

「うーん…やっぱりここの部隊はもう少し人数を増やすべきだと思うね。で、こっちの報告のほうは……………って…聞いてる?」


流石はボンゴレ最強と唄われる雲の守護者。
文武両道とは恐れ入る。
出来ればその才能を分けてほしいものだ。


「…つなよし?…つなよしってばっ!」


なんて思案に耽っていたら肝心の話を全然聞いていなかった。

「あっ…なんですか?」
「なんですか?じゃなくてココっ!!どうする?」
「あっ……ぇっと……何でしたっけ?」


駄目だ。
流石に怒られるかな…?なんて身構えるが返ってきたのは彼にしては甘くて蕩けるような優しい一言。


「君、疲れてるんじゃないの?目がトロンってしてるよ。」
「うーん…どうでしょう。最近忙しいですしね。」


ハハッと苦笑すれば何の突拍子もなく、ポスリと降ってきた体。


「ちょっ……!!どうしたんですか雲雀さん!?」


自分とほとんど変わらない体をゆっくり受け止める。

全体重とまではいかねどもかなりの体重がかかっているはずにしてはその体はあまりにも軽かった。


「ひ…雲雀さ」
「疲れてるなら休んでいいんだよ。仕事なら僕がやっておくし。」


心配なんて感情がこの人にあるなんて正直驚きだった。
それよりも正直この体勢を何とかしてほしい。
ワイシャツ一枚の上半身から除く彼の首筋や胸元がチラチラと目について目の毒だ。



「雲雀さんだって疲れてるでしょ?最近ずっと俺に付き合ってもらってばっかりですし。」
「それだけ君も働いてるってことでしょ。君なんかこの前まで中学生だったんだから遠慮しなくていいんだよ。」



互いの譲り合い。
それよりなにより体勢が…なんて思いながら押したり押し返されたりしていたら俺の欲望を見抜いたかのように、彼が俺に馬乗りになるいかにもな姿勢になる。


「これは…反則でしょ…………。」


「何が?」




終わりの見えない欲望との闘争に折れたのは俺の中の理性。







「わかりました、休ませてもらいます。」



「全く……解ればいいんだよ。」
「ただし…雲雀さんが俺を癒してくれる。これが条件です。」

しっかり腰を掴み離さないように押さえながらニッコリと口に出す言葉。
彼の立場から考えて理解できないはずはない。


「えっ…それって……」
戸惑い逃げようとするもののその細い腰は俺の手中にある。



俺の勝ちですね。

「そうと決まれば寝室直行ですよ!」
「つなよしぃ!!」









その後寝室で何が起こったのかなんてのはご想像にお任せします。

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あまえたがりが書きたかったのに気がついたらこの惨状。
文章っていうものがいかに自分の思い通りにならないかを知りました…。



あきゅろす。
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