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REBORN
死―その先の予定調和




嫌な予感がしたんです
予感が確信に変わる予感がしたんです
避けられない"さだめ"はきっと君を悲しませますよね
ならいっそ―――

何も知らないままでいてほしい。

そう…思ったんです










  ≪死―その先の予定調和≫









「あの…………。抱いてもいいですか?」


黒皮の高級感ただようソファーに腰掛ける彼の上で戯れていた僕に投げ掛けられた言葉。



「いきなり何?」



言葉の内容は嫌というほど理解させられてきたモノ。
しかしながら何時もなら問答無用と言わんばかりに押し倒してくる相手が一々同意を求めてくるなど………一体どう言った風のふきまわしなのか。



「何かあったの?謙虚なのは君らしくないね。」

別に馬鹿にしている訳ではなく単に、らしくないと思っただけ。

疑問に思ったら即行動。なんて言うじゃない。




「いえ……別に何もなかったですけど………。」

それなのに…コレは何?
こんな挙動不振な彼―――知らない。

コチラと視線を合わせようともしない。
意図的に反らしてると言ったほうが正しいのだろう。


こんな状態の彼を見れば何もないなんて嘘なことくらいわかる。
何時もは涼しい顔をして嘘を真実に変えてしまうような彼が僕なんかに感情を読まれるなど、あってはいけないことなのだ。

いくら僕らが恋人同士だからといっても………







「―――何かあるの?これから…。」
「まあ…一応。長くなりそうなんで、会えない分今いっぱいシちゃおうかな―――と思いまして。」



抱いていた疑問は不安諸とも出会った頃の綱吉を思い出させるような無邪気な顔によって流されてしまった。

どうせこれ以上問い詰めても吐きはしないだろうし…。

「いいよ。相手してあげる。」


僕には君を探るような趣味はないんだ。




それに―――
僕の引いた境界線を越えられるのは、綱吉。
君しか居ない。


なら君の欲望に答えるのは当然でしょ?
















「ぅあっ……乱暴なんだから……。」

無駄に大きなベットに体を投げ出されたかと思えば、次の瞬間にはお互いきっちり着込んでいたはずのスーツは端に無造作に投げかけられていた。

―シワが寄るから畳ませろ

という願いはあっさり否定されて。



それからしばらくの思考回路はあやふやで唇から首、うなじに鎖骨。

それらを緩く愛撫された後、ジワジワと高められる熱にただ喘ぐことしか出来なかった。






突然視界がクリアになると同時に、首筋に走るピリっとした痛み。

「……ひぁっ!……なっ………なにを……」




思わず顔を歪め、痛みを感じたその箇所を触るより早く、ツーっと流れ落ちる赤い雫を彼の舌で舐めらる。



「美味しいですね。思ったとおり。」


「何考えてるのさ…君。」


一拍おいて噛み付かれたのだと気がついた。

痛いようで…熱いようで………でも何か違う感覚を生み出す傷口をさすりキツイ視線で問い詰めれば帰ってくるのは予想外の返事。



「これがアナタが俺の物である証。物で遺したらアナタは嫌がるかもしれませんしね。」


所謂、所有印というものというわけか。

ならば直のこと…何故噛み付いた?
流血痕でもなんでも良かったはずなのに。
なんでわざわざ治りの遅くなるような………



「なんで……」


「ただの気まぐれですよ。受け取ってくれませんか?」

「受け取るも何もないでしょ?…………付けられたんだし//」



ジクジクと痛みむ箇所を指で押さえながら自然に視界に入った自身から目をそらす。

まだ触れられてもいないソコはすでに反応をしめしていた。

「あっ、大丈夫ですよ?途中で止めちゃいましたけどちゃんと最後まで相手しますし。だからそんな物欲しそうな顔しないでくださいよ、抑制聞かなくなりますから――。」
「なっ」


そんなに物欲しげな顔だったのかと思うと熱が顔に溜まり見る見る間に真っ赤に染まった。







思えばそれも彼の巧みな言葉の魔術だったのかもしれない。













ぐったりとして動く気配のない彼に毛布をかける。
眠っているのだろう。

はなから脳内に服を着せてやるという選択肢はなかった。


首筋に残った赤い印に指を這わせれば微かに走るであろう痛みに反応したのかビクリと跳ねる体を静かに見つめる。



「これが…俺の……生きた……証………か」

傷口から朱を帯びた頬に指をずらし輪郭を撫でるように滑らす。

「ほんと………馬鹿だな………こんなことしても結果は変わらないのに…。」



さっさとスーツを着込み身嗜みを整える。

    . .
せめて最後に――と思い、唇の前にまで顔を寄せて。
何もしないまま離した。


「お別れだよ、恭弥。」


両の手で力の入ることのない手の平を支え、キスを送る。



部下となったマフィアが初めてボスに忠誠を誓う時のように。

ケジメをつける為に。





「ごめんなさい…俺のことは忘れてください。」

「愛してました。できればこの戦いからアナタを遠ざけたかったのに――やっぱりアナタはボンゴレの…………いや…俺の雲の守護者なんですね。」


「アナタより弱くて、アナタのことをまだ愛せないダメダメな俺を………頼みますね。」

「さようなら――――今までありがとう……………………きょうや。」

そうやって一方的に言い放った君は深い深い深淵へと消えた。



その時の僕は確かに彼の一挙一動を見ていたはずなのに、快感と睡魔に侵食された思考では気がつけなかった。
彼の真意に。



そして同時にその時の僕には知るよしもなかったんだ。

綱吉には近い将来を予感することくらいできるということを。

"ブラッドオブボンゴレ"という存在を。




あきゅろす。
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