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REBORN
夢幻の聲


放課後の学校。
運動場から響く部活独特の声援や掛け声も僕の意識の中には届かなかった。




    夢幻の聲







どこか遠くから聞こえる水音
薄暗く不衛生な部屋

床下面に敷き詰められているのはフローリングでも畳で
もなく割れた窓ガラス。僕の足元に散らばったそれは、僕が歩く度にパキンパキンと小さな音を出して砕ける。



そんな所を僕はさ迷っていた。

もう何時間もたったかもしれないしまだ一分もたってないかもしれない。


酷く時間の感覚があいまいだった。

否、時間だけではなく全てが曖昧だった。
視覚は見えていてもそれが何かを認識しようとしない、聴覚や嗅覚とて同じ。
当然味覚なんて認識は出来ないのだろうな、とぼんやり思うが味わうものなどないのでわからない。
触覚に至っては床に触れているはずの感覚すら怪しい。

全て同じだった。
五感を司る神経全てをマヒさせられた、そう…まるで酷く寝起きの悪いとき無理矢理起きた時のような倦怠感。





始めは夢と現実の間にでも長居しているだけだと思ったが、一向に僕の意識は現実に戻らない。

流石に違和感を感じ、試しに定番の頬を抓るという方法を取ればちゃんと痛みを感じた。



おかしい……これは本当に僕の夢なのだろうか……。

触覚はなかったはずなのに痛みは感じるなんて…。
それもリアルすぎるのだ。極限までに現実に近い所に位置するであろうくらい痛みがダイレクトに脳に伝わったのを感じて確信した。


これは夢等ではない






「おや…気付かれるとは…………流石ですね 僕の恭弥。」

理解した瞬間、余りにも耳に覚えがあった声が頭に響く。音を頼りにソチラへ眼を向ければ霞みがかった感覚の全ては一気に覚醒した。

「骸―――ッ!」
「相変わらず隙だらけですね。」


予想通りの面と予想外の攻撃。

「っ……」


床にたたき付けられた体がギシギシと悲鳴をあげる。

床などあったのかと頭の片隅に考えが過ぎる。
だが、たった今まで感じていたふわふわと浮いていたような感覚はすでになく、体はしっかりとした基盤の床にたたき付けられていることは確か。大方、先程覚醒した意識の副産物だろう。
歩く度パキンパキンという音と共に踏み付けていたガラスは跡形もなく消えていたが――


「これは…君の幻術?」
「クフフ…どうです、お気に召してもらえましたか?僕の恭弥。」


ダイレクトに頭に響く声は体が訴える痛みよりも沸き上がる悔しさよりも強く、同時にあの日から止まっていたコイツの時間を再び動かした。



「この空間もその形容詞も何もかも、気に喰わないに決まってるよ。」


忘れていた快楽と共に












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