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REBORN
恋心シンドローム




授業の終了を知らす電子音で造られたチャイム。

ノートや教科書を片付ける傍ら喋り出す輩のせいで途端にざわつく教室。
僕には全てが不快だった。

ただ一点を除いて




   恋心シンドローム






終礼が終わると同時
耳に響くキンキン声が僕の気分をまた下げる。

「骸君!」

授業が終わると同時のお決まりパターン。
女子が群がり騒ぎだす。
ただそれだけ。

「ちょっと!先に話し掛けたのは私よ!!」
「おやおや…喧嘩はいけませんね、何人でも聞いて差し上げますので焦らなくとも大丈夫ですよ。」


キャーなんて黄色い悲鳴まで聞こえ出した。
頭に響く高い叫び声に思わず耳を塞ぎたくなるがそこは抑え。
風紀委員長として注意すべきなのか とも思ったが気乗りがしなかった。

2月14日

今日が何の日かを考えれば何が行われるかは容易に検討がつくからだろうか。
普段の僕なら学校に菓子など言語道断と問答無用で咬み殺す所なのだが……。


「バカみたい………」


女子と共に群れる彼を見ているとムカムカする気持ちが押さえきれなかった。

これ以上煩いのはゴメンだ―――と自分のなかで納得をつけ、荷物を纏めて席を立つ。

本当はただ逃げたかっただけだったのかもしれない。
ところ構わず微笑みを返す彼から。



ガタン――
僕が席を立てば途端にあんなにうるさかった教室が途端にシンとなる
僕が歩けば恐れを成して周りは避ける

当たり前の事実
決まりきった事象
この場所にいる限り当たり前のことだった はずなのに―――





「おや――もう帰るのですか?」

僕の定義する全ての事象すら壊された――それも僕が一番相手にしたくない奴によって。


「悪い?」
「少し二人きりの時間をくれませんか。」

不機嫌全開といわんばかりの僕も骸の前では何て事ないただの人間。
敵わない
叶わない

「骸君……」
「やめとけって…六道………」

びくびく震えるギャラリー

相変わらず笑みを崩さない骸。
しばらくの思考の後―――僕が折れた。



「いいよ、場所を変えよう。」
「わかりました。」




骸を思う余り醜い嫉妬に取り付かれた僕なんて………

今一番見られたくないはずなのに…どうして僕はあっさり応接室に通してしまったのだろう。















「まったく…どうしてそんなに不機嫌なんですか?」

応接室の扉を閉め、完全に二人きりの状態になった瞬間から彼の表情が変わる。
取って付けた様な笑みじゃない。ホントの表情。
僕だけの知ってる彼だと思うと少し嬉しかった。
同時に気恥ずかしくなり視線を反らす。


「別に………」
「それじゃわからないじゃないですか……。本当に君は素直じゃないですね。」


ため息が聞こえたが目をあわせることは出来そうになかった。
泳ぐ視線を隠すため反らしていた顔が掴まれるまでは。

強制的に目線を合わされ瞬間、特徴的な六の文字が僕の眼下に踊った。

ハッと息を飲む間もなく僕の唇は奪われていた。

息が出来なくなるくらいお互いがお互いを貪り合う激しく深く長いキス

僕が溶けてしまうかのような甘い痺れに真っ白にスパークした思考。


唇が離れた時にはもう何も考えられなかった。




「っ―――///何するのさっ!」

「ふぅ…今年話題の逆チョコというものですよ。君の場合こちらから動いて差し上げないといけないかとおもいましてね。」
そういわれて初めて口の中の甘さに気がついた
チョコレート独特の強烈に残るあの甘さだ。


「だからって!」
「おや…もしかして甘いもの苦手ですか?」
「嫌い………じゃない…けど…………」
「ならこれを。」

綺麗にラッピングされた粒状のチョコレートが手渡され途端真っ赤に染まる顔。
箱の右端、一つ開いたスベースの所にあったチョコは今互いの口の中にある。



何か言おうにも先程の甘い味が舌を蕩けさせ、まともに言葉がでない。

先程はあれだけ感じていた嫉妬なんてものはとうの昔に記憶の底に消え、今はただ骸が僕だけの為に用意してくれた甘い甘いチョコレートの味だけが五感を支配していた。


「お返し、楽しみにしてますよ。」



返された言葉。
にこやかに笑う骸。



僕の中で膨らむソレは





  終わりのない恋心症候群










あぁ――なんてこと。
こんなもの―――渡されたら返すしかないじゃないか!





―――――――――

VD小説ということでいつもより甘めな骸雲小説
ちょっと構造設定でナチュラルに骸が並中生という……

なかなか甘くならない俺☆クオリティーww


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