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REBORN
サキュバスの笑み





「神はきっと僕らを見放すつもりですよ。」

赤い水溜まりの中、横に並んだ雲に向けて霧は呟いた。






  ≪サキュバスの笑み≫





いくら倒してもムラムラと出て来る敵。
これが罠だと気がついたのは二人とも疲弊状態に陥った後だった。


ボンゴレ最強とも言われる主戦力を保持する言える雲。
ファミリーの情報を内部から漏らすどころか外部からの接触すらことくごとく防いで来た霧。


攻防の要を失えばいくらボンゴレとてタダでは済まないだろう。


だからこその作戦であろう……
逃がすスキさえ作らせないその攻撃網。

状況が芳しくないことは一目瞭然だった。

このままでは遅かれ早かれ殺られる。

そんな状況下だというのに



「なに…君、神なんて信じてたの?」

「いえ全く。僕は六道全てを回ってみましたが神なんて人物には出会ったことはおろか、噂を聞いたことすらなかったですよ。」

「なら、そんな物に頼る必要もなければ左右される必要もないよ。」



雲は笑っていた。
臆することもなく、諦めた様子もない。


まるで勝利を確信したかのような笑み。

この場で勝つ確率など万が一でもあるのだろうか……




それともただ自棄になっただけなのか……。


「それじゃあ今だけ祈ってみる?」

そのいずれでもない。
彼は楽しんでいるのだという事を知るまでにあまり時間はかからなかった。
その結末がどうあれど…というより彼は己が負けることなど一切想定していないのだろう。

「そんな無茶苦茶な…。即席で祈ったって神は助けてはくれませんよ?」

痺れを訴え始めた両腕を叱るごとくトンファーを一回転させる彼を横目に適当な間合いを置いたまま動こうとしない敵を見据えながら口はそう動いてた。




「まあ祈るつもりなんて更々ないんだけどね。」

束縛を嫌うその精神が存在すら確定しない神ごときに依存するわけもないだろうと割り切って口にしたことは間違いではなかったようだ。


「いないものなんかに興味はないね。僕が信じるのは己のみ。神なんて必要ないんだよ。」

「同感です。」

視界の端でアチラの銃口が光るのを収めながら手の中の三叉槍の感覚を確かめる。

「まぁ…君を信じてあげないこともないけどね。」




彼の手に握られていたのは…見たこともない匣。




「僕のリングはCランクがあと一つ…。この匣を開けれるのは一回だけ。………この意味、君なら解るよね?」

彼独特の下級ランクのリングを使い捨てにするというスタイルは主となるソレがないと成り立たない。
一度きりのチャンス



仕方がない。アレをやるか………

















「恭弥…少しこちらを向いて下さい。」


その言葉に顔をあげる相手の唇を自らの唇で塞ぐ。
それは一瞬の出来事で、理解したのかゆっくりと身を委ねる彼の体を緩く抱きしめた次の瞬間には恭弥の姿は呆気に取られた敵の眼下にあった。


「いくよ、群れないと攻撃出来ないような草食動物達!」

襲い掛かる一人を足で蹴り倒した直後、恭弥の手にあった匣にリングの炎があてがわれる。



「ハリネズミ…だと?」

相手の一人が呟いた通り中からでてきたのはハリネズミの姿をした匣兵器。


『第一のスキル、地獄道。』


瞳の文字を"四"から"一"へと変化させた骸の能力により、ハリネズミは幻術によって分身を繰り返し翻弄される敵の中心を捕らえ、一気に増殖し…


全てを刺し殺した。


「お見事。」








あとに残る無数の屍の中は皮肉にも自らを落ち着かせた。
無論、恭弥の腕のなかとどちらかと聞かれれば答えは決まっていたが。


「リングの調達手伝ってくれない?全部壊しちゃったからさ。」

死体を…というより死体の指を漁る姿は何とも言い難かった。
数分もたたないうちに指輪の回収は終わった。

自分が欲するような強力なリングはなかったもののそのまま放置するのは勿体ない気がしたので一応全部持って帰ることにして、雲のリングだけ全て彼に回した。



「やっぱりCランクが限界だね。あぁ…なんで綱吉はボンゴレリング壊したのかな……面倒くさい…………。」

「それが彼なりの考えだったんですよ。」


ぶつぶつと文句を漏らす彼の姿に呆れと愛しさと


「甘いね。結果、僕はリングを使い捨てるなんて面倒な行程を踏まなくてはならなくなった。綱吉は……」

「そろそろ帰りませんか?雲系とその他の高ランクリングは回収終わりましたし。」


それ以外の何かを感じた。



「何?妬いたの…?」

「独占欲が強いことはご存知でしょう。」

「散々思い知らされてきたからね。」

「すみません。」

「ふふっ…君が笑うことじゃないよ。」

淡々と続く会話に笑い声が混じる。
釣られてこちらの表情にも笑みが浮かぶ。


「さて、帰りますか。」
「そうだね。こんなところに何時までも居たくないし………帰ったらシャワー浴びよ。」

「お付き合いしましょうか?」
「ふざけるな。」
「失礼。」

首筋に突き立てられたトンファーにジョークですよと笑いながら降参の意を示すかのように手を挙げる。




「まあ…シャワーしたあとなら別にいいけどね。」

「へっ………?」




シャワーしたあと……?

それは一体どういう………。

「言ったでしょ。君を信用してやるってさ。」






ああ…なんて残酷な一言。
そんなの僕が耐え切れるとでも思っているのでしょうか………。



パサリと舞った髪は所々赤く染まっていたがそれでもなお美しかった。







淫靡の悪魔は全てを見据えたかのような瞳で僕を惑わす。





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サキュバス⇒俺的解釈では妖艶悪魔だったんですが辞書によると女性型の夢魔らしいですねwww
女性・・・
ちなみに男性方はインキュバスというそうです。


あきゅろす。
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