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いやよいやよも好きのうち
酒が少し入ると俺らのテンションもぐいぐい上がって、気がつけば意地の張り合い、小競り合い、最終的には呑み比べにまで発展していた。

「よし銀時、負けた方が勝った方の言うことを1つ聞く…ってのはどうだ?」

「何でもだな?いいだろう、やってやらァ」

ここで土方をこてんぱんに負かし勝利のパフェといこう
一度やってみたかったんだよなーメニュー指差しながら「ここからここまで全部下さい」ってやつ。
店のパフェ全制覇……なんて自信満々で挑んだ勝負だったのに



「…あれ?」

気がついた時には知らない場所に居た。




「ここ…どこだ?」

やけに視界が広い
そして綺麗

「ホテル」
「…土方」

「やっと目ェ覚めたか」

「…」


隣りに寝そべっていた土方は待ちくたびれたと言わんばかりにのそりと起き上がり、手元の灰皿を見れば吸い殻が山盛りになっていた。

「何でホテルにいんだ?」
「何で、じゃねーよダウンしたお前を此処まで運ぶのにどんだけ苦労したと思ってんだ」

「……」


ずしりと鉛が残る頭で昨日の記憶を手繰り寄せてみる。
呑み比べ、焼酎を一気したとこまでは覚えているがそれからは…どうしたっけか、全然覚えてねぇ。


「因みに」
「え?」

「もう昼過ぎだ」
「げ!」

俺は相当の時間寝こけてしまったらしい。

「やべ…神楽にどやされるな」

やっぱりマダオネ酒くせーヨ…神楽のそんな台詞が頭の中ぐるぐると駆け巡り、仕方がないから土方の金で酢コンブでも買って帰ろう と賄賂的な対策を練っていたら頭上から土方のため息が落ちて来た。


「俺なんか今日休み取ってまで介抱してやってんだぞ」
「…は?」

「ありがたく思え」

「……別に、放っておけばよかったじゃねーか」

てかいつもそうしてんじゃん。
何でまた今日に限って、…言いかけて言葉を失った。


「昨日の約束…覚えてるよな?」
「…何の事ですか?」

嫌な予感

「負けた方は勝った方の言うこと何でも聞くって、」
「確かに言った気もするけど、」

待て、その顔は何なんだ

「今からそれを行使しよう」
「え、何、」

待て待て、これはやべぇって絶対


「これ」
「!!!」


出た…


変態男ーーーー!!!




差し出されたその手にはとんでもないものが握られていた。

「たまにはこういうのもアリだろ」
「ナイナイナイ」

「俺の言うこと何でも聞くんじゃねーのか?」
「ふざけんなだからってこんな、」

「比較的易しい方だろ」

「……っ」

確かに土方の言う通り、お金は掛からないし手間も掛からないし無理難題ではない……
わけあるかァァァァ!!
精神論だ!

無理、無理無理絶対無理
こんな、

「ナース服は男の夢だ」
「一生夢見てろド変態!」

「問答無用、ホレ着ろ」
「いやだ」

「着ろ」
「いやだっつってんだろ」

「じゃあ別のにするか?」
「…それもいやだ」

「さーて…お前に何を奢ってもらおうか」
「…足元見やがって…」

「約束は約束」



「…覚えてろよ…!」



いやだ、けど仕方がない
これにさえ耐えれば

耐えれば…




…やっぱりいやだ…!




「オイいい加減この手どかせよ」
「いやだ絶対見んな」


仕方なくそれに着替えたものの、こんな恐ろしい姿見せられるかコノヤロー。
ベッドの上俺は土方の後ろに座り、その目を両手でガッチリと塞いでいた。



「あのー…いい加減そろそろ見たいんですけど」
「駄目」

「見せろや」
「いやだ」

「着た意味無ェだろそれじゃ」
「意味なんて無くていいんだよ、この変態が」


「…」


「…っ、」



目を塞いでいた手をずらされべろりと舌で舐められる。

待て反則だろそれは、

「絶対可愛い」
「可愛いもんか」

「だって想像しただけでこんなになってるぜ俺」
「やめぃ!」

がちがちに硬くなっているそこを自慢げに擦るそいつをここまで馬鹿だと思ったのは、初めてだった。




「見るぞ」
「いやだ」

「せーの、」
「え、」

「よ、っこいせ」
「う、わ!」


見事な投げ技を決められ不覚にも体が反転、土方という名のド変態と目が合ってしまった。



「……」

「……ホレ見ろ、気持ち悪いだろが」

「…」

「もう脱ぐぜ」

「…い」

「は?」

「…わいい」

「何?」

「超可愛いんですけどォォォォォ!!」

「ぎゃああああ!!」



脱ごうと手を掛けたそれをがっしりと掴まれ、そのまま思い切り強く抱き締められた。



「銀…俺の夢を叶えてくれてありがとな…!」

…大袈裟なんですけど。

「こんな残念なナースに夢なんか見んなっつの」
「いやいやいやマジで可愛い、たまんねェ」

「…っ」


オイ…
変だろ、
こんな格好絶対ありえねぇ
なのに何だこいつ
目血走らせて
鼻息荒くして
口を開けば可愛いだの何だの…

…あれ、おかしい。
心底いやなのに…体が妙に疼く。

何で?



まさか、




もしかして俺、







興奮してる?





「…土方」
「何だ」

「どこ…痛い?」
「…!」

いきなりスイッチが入った俺に一瞬驚いた表情を見せたそれは、直ぐに妖しいものになった。

「まずは腫れちまった此処の…治療してもらおうか」


そこ、ね。

「まったく、困った患者さんだな」

下着を下ろし患部に消毒代わりの口付けを。
やる事はいつもと大して変わらない筈なのに、この何ともいえないムラムラとした感じ
…いや、いつもより出血サービスしてるぞ俺。
意識してたっぷりと奥まで銜えてやる。

治療と呼ぶには厭らしすぎる…




「…随分と淫乱なナースだな、可愛い顔して」
「…ちったぁよくなったかよ」

「あァ、お陰さまでかなり具合がよくなったぜ」
「そりゃどうも」

寸前で口許からぐいと外され土方の放ったものがナース帽と俺の髪を伝いたらたらと顔に落ちてきた。

「元気のいい患者さんだこと」
「まだまだだ」

「っと、」
「集中治療といこうや」


…そっちがその気ならば


「そのでっかい注射にあまーい薬塗りたくってやらぁ」










その後飽きることなく続いたナースプレイ
何度もイって疲れ果てた俺に向けられた言葉に…
やっぱりこいつ、ベッドの上ではドSだと痛感した。

最悪だわマジで。


いやよいやよも好きのうち



終わり



凛様
お題ありがとうございます!


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