2.触らないで
「新八ぃ!」
ソファーに横たわり話しかけてくるマダオの銀さんは
「糖分くれ!」
いつもだらけている、その上糖尿予備軍だ。
「んな金ねぇよ、食いたいなら金持ってこい。」
いつも通りの日々は、僕にとって苦しい日々なんだ。
隠して、騙して。
きっと目が冷める、そう信じて過ごす日々。
───だけど、
「新ちゃんさぁ、ツッコミ最近キツくない?」
そう言って僕の頭を撫でるこの手のせいで
僕の心は
甘く切ない海に溺れてる──
辛いのに
苦しいのに
切ないのに
どうして─────
僕は─────
この夢から醒めたくないのだろうか
好きになればなるほど
遠く感じるこの距離。
「触らないで下さい」
「ちょっ新ちゃん思春期!?」
触らないで
僕の心が冷めるまで
触らないで
僕の夢が醒めるまで
つづく
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