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一方的な見解で特別坂田と近い存在だと感じていた学生生活は志村にはとても楽しかった。しかし、やはりと言うかそれは勘違いであったらしいと案外落ち着いてそう思った。遠くへ行く志村に坂田は今教師の顔付きで彼なりに志村を激励している。

志村は坂田から特別に思っていると言われた訳でもなく、ただ二人の間に流れる空気の心地よさに、勝手な期待をしていただけなのだ。考えてみればこんな事は当たり前だとそう思う。

自分は坂田の受け持ちの生徒であり心を許すような行動は当たり前であって、やはりいち生徒でしかなく、もっと言えば特別でもなんでもない。

であれば担任である坂田の心境は受け持ちの生徒がこの就職難に就職出来た、つまりは万々歳なのだ。だから自分が落胆するのは場違いで坂田のそれは志村への好意と取れる態度だった。

「大丈夫大丈夫。お前ならどうにかやってけるって」

坂田は志村の頭に手をおいた。志村はその心地よい感触に目を細めた。志村にとってこの男は教師であるがそれだけの存在ではなく、殊更特別なのだなとまた今になりひしひしと感じていた。


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あきゅろす。
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