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1 もうすぐ降りそう









ポツリポツリと静かに降る雨は、万事屋の静寂を引き立てる。




スピーと聞こえるのは定春の寝息。
台所で気持ちよさそうに寝ているのを起こさない様に静かにコップを洗う。

コップを洗って、タオルで手を綺麗に拭いて定春に小声でおやすみと告げれば少しだけ耳が動いた気がした。







和室に入って布団を敷いて、戻って来ない家主の分の布団を敷こうか迷って、止めた。



はーと小さく、本当に小さくため息をついた。








神楽ちゃん残して何かあったらどうすんだ。
と思いながら暗闇の中。
自分が寝る分だけの布団を敷く。




ポツリポツリと聞こえる雨音。
窓に滴が付いて流れ落ちるのをぼんやりと見る。





月も星も見えやしない。
心はモヤモヤと薄暗い。

ずっと、ずっと心は晴れない。







いつからだろ。
一体いつからだろうか。


あの人の破天荒さもだらしなさも分かっていたはずなのに。





なのに。






疲れてきた、と思うなんて。









布団にゴロリと横になり暗い暗い空を見る。










段々と強くなっていく雨。

まるで僕の心を映し出しているようで。




悲しくて寂しくて、苦しくて。




銀さんが帰って来ない事に寂しさを覚えながらも、
どこか安心している自分で嫌気がさした。







強くなる雨音を、どこか遠くで聞きながらまどろむ世界に落ちていく。


目を閉じて思い浮かぶのはあの人の背中。





僕は、いつからあの人の顔を見れていないんだろうか。





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