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01.照れた表情が愛らしい






想いを告げて早幾日。



こんなにも、独占欲が強い自分に驚いた。

今まで、こんなにも手放したくないと思えた人物は初めてだった。










一歩、近くなった距離。
もっと、近くなりたいと思う自分とは裏腹に
ほんの少し逃げる相手にもどかしさを感じてしまう。





「あー…」

自室のソファに寝転んで天井を見て目を閉じる。
モンモンとした想いとか邪な考えがどうしたって邪魔をする。



手、出したら怖がるかねぇ



今までとは全く正反対だ。
アイツが此処に来た当初の俺が見たらさぞかし驚くだろうよ。


触れたい、触りたい。
もっと近くに居たい。
キスして体を繋げたい。


日に日にその想いは強くなっていくばかりで。


「…なんだ欲求不満…?」


ぽつりと呟いた言葉と同時に無遠慮に開けられた自室の扉に心臓が飛び跳ねる。




「どうしたのだ」


現れたヅラの姿にため息をついた。



「なんだ、テメェか」


起き上がってガシガシと頭を掻く。



「ほォ、誰だと思ったのだ」

にやにやしながら見てくるヅラに出ていけ!とそこらへんに落ちていたものを投げつけた。



「大体、オメェ何しに来たんだ」


「ああ、忘れるとこだった。新八君がお登勢殿と出かけてくるそうだ」


「ババアと?」

ヅラの言葉に眉を顰めてソファから立ち上がる。

窓の近くに寄って屋敷の下を眺めてみる。

丁度玄関先が見えてババアと新八とたまがいた。



ぺこりとお辞儀をするたまにババアが声をかけていた。
ぼんやりと眺めていたら気が付いた様に新八が顔を向けてくる。


バチリと合う視線。
数回瞬きをして軽く手を上げてみれば照れたように笑い返してくれた。







「ほォ。いつの間にそんなに仲良くなったのだ」

「ぎゃっ!」


ヅラが居る事なんてすっかり忘れていた。
背後から声をかけられて心臓が飛び跳ねた。




「高杉や坂本が見たらなんて言うか楽しみだな」

「奴らに言うな」


胸倉を掴んで騒いで。
ちらりと外を見るとにこりと笑った新八が居た。






きっと、この頬の熱は輝く太陽のせいだと思いたかった。



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あきゅろす。
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