/ツバサ
「お、月見桜ですかぁ」
「・・・・なんだ」
ふふふ黒さまにも風情というものがあったんですねぇ。なんて言うと黒さまは鼻を鳴らしてそっぽを向いた(可愛いなぁ)。
「寝てたんじゃねぇのか」
「だってー、皆寝たら黒さま一人で飲むと思ったんだもん」
抜け駆けはいけませんよーぅ、ファイさんの真似をして行ってみたらものすごいやな顔された。
「あいつの真似すんな」
「いいじゃん、黒さまの真似してるわけじゃないんだし」
「・・・・・・・。」
意地悪く言い訳をしながら自分もそっぽを向くと返ってくるはずの反論が返ってこない。
お?珍しく反論がないのか?と顔を見てみると真っ直ぐに桜の木を見ていた。
「・・・・綺麗、だね」
「・・・ああ」
本当に綺麗。花びらの一つ一つが踊るように落ちていく。桜のワルツ、なんてかっこいいかな(あたしは詩人になれると思う!)。
「桜の木の色は、ヒトがつけた色じゃないよね?」
「ああ?」
「ほら、よく言うじゃん。木が人の血を吸い上げて、花が赤くなるって」
「・・・・よく言わねぇだろ」
「そうかな?じゃ、あたしが思うに」
そんな気がするんだよね、というと眉間にしわを寄せた(あ、いつもか)。
「それは、俺に殺生すんなってことか?」
「違うよ。黒さまはずっと強くいてほしい」
「じゃあ」
「でもね、人の争いに桜は関係ないっしょ?それなのに影響受けてんならそれは、可哀想だな、と思ったから」
さくらさくらさくさくら、いつまでもさくさくら
さくらさくらまうさくら、おわりのないもの
さくらさくらちるさくら、それははかなすぎるほど
「お母さんから教わった民謡。決して嬉しくなるような、楽しくなるような唄じゃないけどあたしはとても好き」
「・・・・何故だ」
「なんとなく」
なんだそりゃ、と鼻で笑った。(月明かりがあたった黒さまがかっこいいなんて思ったのは秘密)
「お前も飲むか」
「それ強いやつ?」
「俺には弱い」
「・・・判断しづらいなぁ」
そう言いながらもお酌してもらおうとしたら
「あ」
最後の一滴が落ちた
終わっちゃった
(じゃ、今度は甘いのにしよう)(・・・・・・うげ)
080316/梓企画参加物
なんじゃこりゃ。
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