novel
太陽のような
「新八ー明日ちょっくら仕事してくっから昼飯はいらねーよー」
夕飯を済ませソファでゴロゴロしながら、久々の仕事が入った事を新八に告げた
明日の仕事はどーせ屋根の修理だ
適当に直して早いトコ帰ろうか、とか考えてる自分に、我ながらダメなオッサンだと実感した
情けなくね?俺…
台所で洗い終った茶碗を、布巾で拭いていたであろう新八が、台所からひょっこりと現われた
手には白い布が握られているので、そう分かった
畜生、可愛いなァおい
でけぇ目をパチパチさせて、なんか言いたそうに俺をじーっと見てる
ズレた眼鏡をかちゃりと直し、ソファでダラけている俺に近寄って来て
「…銀さん、冷蔵庫にあったいちご牛乳、捨てちゃいました」
なんて言うモンだから
「はぁぁぁ!?何で!!!ちょっフザけんなよダメガネコノヤロー!!!」
なんて言っちまった
ちょっとやっちゃった感で頭いっぱいにしながら、新八に目を向けると、奴はなんかほっとした顔してたから驚いた
「…し、新八?」
「…あーよかった、本物の銀さんだ」
「はい?」
あーよかったよかった!!!なんて言いながら台所に引っ込んでった新八の後ろ姿を見て、何だったんだろうと思考を巡らせた
「…おーい新八くーん?」
俺は訳も分からず、新八の後を追った
新八はクスクス笑いながら、また食器を拭いていた
いつも飯を食ってるあの茶碗は、こうしてまた棚に戻るんだろうと考えて、改めて新八に少し感謝した
勝手に綺麗になる訳はないのだから
「…銀さん?何か用ですか。いちご牛乳ならもうダメですからね」
「…や、捨てたんじゃねぇの」
「あぁアレ?冗談ですよ、捨てる訳ないでしょ?勿体ないし」
新八の言葉を聞いて、もっと訳分かんなくなった
仕事して来るっつって、なんでいちご牛乳捨てたとかの嘘を返さなきゃなんなかったのか
もしかしたら俺はからかわれたのか?
「…銀さんがね、仕事行くなんて言うから、正気がどうか試させてもらいました」
「…え、何それ失礼じゃない?」
「でも、正気だってわかってほっとしました。明日、お仕事頑張ってくださいね」
そう言って
にこりと笑った新八の笑顔は
太陽より明るくて、あったかい
そんな可愛い笑顔で俺を見上げる新八を
自らの腕の中にギュッとおさめた
小さい新八は簡単におさまってしまった
「銀さんっ、ちょっ止めてくださいよっ神楽ちゃん来ちゃいますよ…」
そう言って俺の腕ん中でもがく新八の顔は
夕日に負けねぇ位に赤かった
そんな新八も、愛しい
とか歯が浮くような事を考えながら
明日の仕事真面目にやろ、なんて考えた
「…愛妻弁当ってのもアリかも」
END..
←→
無料HPエムペ!