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novel
大好きの裏返し
「あー…暇でさァ」


巡回は暇だ

一人なら昼寝するなり駄菓子屋に行くなり色々する事はある


だが今日は土方コノヤローも一緒だ

きっちり監視されてるせいでサボりなんか出来やしねェ


隣で眉間に皺を寄せた土方が煙草を吹した

あー煙てェ


「おい、巡回の何処が暇だコラ。これが仕事だ、テメーは普段サボってっからわかんねぇだろーがな」

「土方さんと一緒ってトコが気に食わねェんでさァ」

「テメやんのかコラァ!!!誰かがついてねーとまたサボるだろーが!!」

「だからってなんでテメーなんでィ」

「俺だって不本意だ。誰がテメーなんかと」

「そりゃこっちのセリフでィ」

「…もうお前黙ってろ」


あーマジムカつく

こいつ瞳孔開き過ぎの容疑で逮捕してやりてェや


隣に目をやりゃーまだ眉間に皺寄せた憎らしい土方が、イラついた様子で煙を吐いた


ただの煙吸って何が面白いんでィ

いい加減にしろィ、今この瞬間も受動喫煙させられてるんでィ

俺の肺まで真っ黒にするつもりか


あーマジで暇でさァ…


ただ歩いてるだけで犯罪防げるなら訳ねェぜ


大体何の為の巡回なんでィ

俺ァ桂さえしょっぴければ後はどーでもいいんでさァ


こんな呑気に歩いてる前にわざわざ出て来るテロリストなんかいる筈ねェや


せめて土方さんを亡き者にしてェ

バズーカ打ち込みゃ一発でさァこんなマヨ侍


本気でやりやすぜ、男に二言はありやせんぜ


何処から取り出してるのか自分でもよく分からないが(アニメだから何でもアリだろィ?ポケット的な所に隠し持ってるんでさァ多分)


バズーカを取り出し、憎い土方コノヤローにじっくりと狙いを定める


「…あばよ土方」


ドガァァァン


土方目掛けて打ち込んで、一瞬アイツの瞳孔が開いた顔が見えた

すぐに煙が充満して土方のあんちきしょーは煙塗れでィ


死ね、そして副長の座は俺のモンでィ

ちゃんと引き継いでやらァ、感謝しろよ


「…死んだか」


チョロい奴でィ


バズーカ一発で死ぬなんざ流石マヨネーズでさァ


「…誰が死ぬかコラァ」

「…げ、生きてらァ」

煙の中から現われた土方コノヤローは、頭から血を流して隊服も所々破けていた


「しぶといお人でさァ。…次は仕留める」

「オイまだやるつもりか!!!!テメーの事だ、副長の座でも狙ってやがったか」

「お、気付いてやしたかィ?流石鬼の副長でさァ」

「うるせぇ、一つ言っとくが俺はバズーカなんかじゃ死なねぇ」

「最早人じゃねェや。本物のマヨネーズですかィ?」

「んな訳ねぇだろーが!!!!テメー殺すぞボケ」


こいつ…どうしたら死ぬんでさァ

バズーカで無理なら何なら効果あるんでィ

寝てる時にマヨネーズ口に詰めて窒息させてやろーか

せめてマヨネーズでも食いながら死になせィ






…お?




ありゃー…







「…新八」




土方さんがそう呟いた


俺より先に新八の存在に気付くたァ…よっぽど会いたかったのかねィ


新八は小さい手一杯に袋を抱えて、八百屋の親父と話をしていた



親父、察してやりなせェ


重そうだろーが



なんて考えてたら、土方さんが煙草を落としてまだ少し火の出ている煙草を靴で踏んだ

そして新八のいる方向へと歩き出した


…紳士気取りでさァ、マヨラーの癖に



「…よぉ、新八」

「…あ、土方さん!!」



仲良さげに話し出す二人に若干腹が立つ


マヨラーの癖しやがって


「今日は仲良くお二人で巡回ですか?珍しいですね」

「仲良くなんかねぇ。仕方無くだ」

「そりゃこっちのセリフでさァ。土方さんが誰にでも構わず斬り掛からないように見張ってやってるんでィ」

「斬り掛かるか!!!テメーを斬ってやろーか」

「まぁまぁ。仲良いじゃないですか」

「良くねぇよ」

「眼鏡君はいつもと変わらず地味ですねィ」

「地味って何だ!!!余計なお世話ですよ」

「ったく…総悟テメーもっとマシな事言えねぇのか」

「余計なお世話でさァ」

「いいですよ。沖田さんは僕の事嫌いみたいですね」

「…え」

「…チッ」



悲しそうに俯く新八と、俺を鋭い目で睨み付ける土方コノヤロー


何でィ、俺が悪ィのかよ

…なんかむず痒いんでィ


新八…なんて



俺ァ結構恥ずかしがり屋さんなんでさァ


うぶなんでさァ、土方さんと違って


どーすりゃいいんでィ…


「…眼鏡君だろィ、アンタは…パッと見の特徴を言ったまででさァ…」


あ、なんか上手く言えねェや

ドSは打たれ弱いんでさァ、硝子細工みてェに繊細に出来てるんでさァ

俺に気のきいたコメント要求しないでくだせェ…


はっきり言ってドヘタレでさァ


「そうですね、どーせ僕の特徴は眼鏡ですよ。眼鏡君で結構です。土方さんはちゃんと呼んでくれますから」


う"…


今「土方」はNGワードでさァ

敏感なんでさァ、硝子の十代なんでねィ


土方コノヤローには負けたくねぇんでィ



当の土方はニヤニヤしながら見下す用な視線を俺に浴びせる

冗談じゃねぇや、ニヤニヤすんな土方コノヤロー

マジキモいでさァ


「土方さん、僕もう行きます。沖田さんも、さようなら」

「…あぁ…またな、新八」




あ、今


当てつけがましく「新八」を強調しやがった


マジでムカつく奴でさァ

死ねよ土方



『…し、しし』


『…志村くん』


『また、な』









「…はい、さようならっ」



びっくりした用に目を丸く見開いて、今度は柔らかく微笑んでそう言った






「…志村君はねぇだろ」

「…うるせェよ土方コノヤロー」

「この調子じゃー名前で呼べるまでに10年はかかるな。…好都合だがな」

「…言ってろィ、また今度会った時は覚えてろよ」




ばっちり決めてやらァ




ついでに買い物袋の一つでも引ったくってやらァ



だから覚えてろよ





END..



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