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UTAU幻想譚-Larks Tale-
2
ツバメが長期間家を空けるのは、別段珍しい事ではない。
この集落は、聖都――歌姫の都とは遠く離れた場所にある。そんな地理的条件故に、双子の為の書物や衣類を買いに行くだけで数日は費やされるのだから。
けれど、双子に対し非常に過保護なツバメだ。ただ買い出しに行くだけならば、よっぽどの事がない限り3日も経てば帰ってくる。

けれど、今回ばかりは勝手が違う。
魔物退治。聡い双子は、もう気付いている。
それが、ひとつ間違えば二度と帰っては来られない戦場であることに。

「ね、ルブ……。ツバメさんが出かけてから、何日経ったっけ……」
「明日で3日目……」
「……ツバメさん、大丈夫だよね?いつもみたいに、明日帰ってくるよね?」
「帰ってくるよ。ツバメさんだもん。絶対に帰ってくるさ」

不安げなリーズを宥めるために、ルブは力強く言う。
自分自身にも言い聞かせるように。

「ツバメさんが帰ってきたら、またいつも通りになるよ。だから待とう。リーズ」
「……うん」
「ほら、あんまり夜更かししてると、ツバメさんが帰ってきたら怒られるよ。だから今日は寝よ?」
「そだね、ルブ」
「「おやすみ」」

不安なのは夜だから、と双子は眠りにつく。
きっと朝になったら、朝食を用意する彼がいるのだ、と。
一筋の希望を持ちながら。

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あきゅろす。
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