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UTAU幻想譚-Larks Tale-
哀しみの落陽
――いいかい、君たちは集落の外に出てはいけないよ。
集落の外には、化物がいるから。
それに捕まると、君たちも化物になってしまうよ。
……よし、良い子だ。
私達はその化物を追い払ってくるからね。
だからその間、二人で待っているんだ。
帰ってきたら、君たちの為に腕によりをかけてご馳走を作ってあげるからね。

どうやら時間のようだ。
なぁに、心配する事はないさ。すぐに帰ってくるから。
だから、もう一度約束だ。
私が帰ってくるまで、絶対に集落から出ないこと。
解ってくれるね。

ルブ。リーズ。

行ってくるよ――


そう言って、彼……歌造ツバメは他の大人達と一緒に化物……『ノイズ』を退治しに行った。
半月ほど前、世界を守る歌姫が崩御してから、世界には『ノイズ』が溢れだした。
歌姫がかけていた封印が解けたのだと、民衆に伝えられている。

「ルブー、ご飯食べようー?」
「リーズ……」
「ツバメさん、今日も帰って来なかったね」
「……うん」
「あーあ、早く帰って来ないかなぁ」

二階のベランダから顔を覗かせているのは、霞歌ルブと霞歌リーズ。
歌造ツバメと共に、とある集落で暮らしている双子の姉弟。

「僕らにも、ツバメさんのお手伝いが出来たらいいのに……」
「きっと、集落から出ないで待ってる事も立派なお手伝いだよ」
「でもさ、リーズぅ……」
「私たちが行っても、ツバメさんの迷惑にしかならないと思う」
「そっか、……うん、とりあえずそういうことにしておくね」
「うん」

そう言うと、二人は部屋に戻って行った。

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