UTAU幻想譚-Larks Tale- 始まりと弔いの輪舞曲 夜空を見上げ、少女が謡っていた。 まるで、祈りを捧げるかのように。 少女は知っていた。 自らの命がもう長くはないことを。 少女は知っていた。 自分が死ねば、世界に古の魔物が放たれることを。 「……けれど、誰もがこの歌を忘れてしまった。 世界を守る歌は……私しか知らないもの。 ……教会が、民からこの歌を奪ったから」 少女は哀しげに言う。 「私は今宵、この命が尽きるまで謡い続けよう。 誰かに、この歌が届くと信じて……」 少女は深く息を吸い、音を紡ぐ。 地平線の彼方までも届くように。 夜明けと共に、少女は崩れ落ちた。 世界を守る歌姫だった……少女ナイルの表情は、とても安らかだった。 そして物語は、始まりを告げる……。 |