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UTAU幻想譚-Larks Tale-
惨禍の夜明け
「ソラーぁ!」

階下から、まだ幼さの残る少年の声が響く。
ソラ、と呼ばれたもう一人は、ベッドに潜り込んだまま動こうとしない。

「朝ご飯冷めるよー!」

少年の声が、少しずつ大きくなる。ベッドの近くまで歩み寄っている。

「また夜更かしして剣の手入れしてたの〜?」

床に転がる二本の剣を眺め、少年は呆れたように布団を剥がす。
蜂蜜色の髪の少年が、姿を露にした。

「ほらっ、朝だよ」
「……分かった、分かったから布団返せ〜」
「二度寝禁止!」

蜂蜜色の髪の少年……穂歌ソラは、渋々まぶたを開き起き上がる。

「昼間に手入れしようよ」
「俺も俺で忙しいんだよ……」
「5時間以上鍋をかき回してる暇があったでしょーが」
「美味いカレーを作るには必要な工程なんだよ……」
「……僕が悪かった。うん、もう何も言わない」

階段を降りながらの雑談。もう一人の少年……轟栄二はため息をつき、やや駆け足でダイニングに戻る。

「ねー、今日何する?村の中で出来る事はだいたいやりつくしちゃったから、暇だよねー」
「外行くか?」
「でも兄ちゃんに村から出るなーって言われたじゃん」
「3日も経ったんだからもう良いだろ。今は宴会でもしてるんじゃないか」
「……怒られたらソラが責任取ってよね」
「りょーかい」

少しだけ意地の悪い微笑でそう答えると、ソラは冷め始めた朝食をかきこんだ。

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