企画小説
3
流石に校内を裸足で歩くわけにはいかない。教官室にあったスリッパをひとつ取り、借りていきますね、と一応許可を貰った。

「じゃあまたね、へんたーい」

体育館に面する場所にある教官室の扉を開けると、他の学年の生徒が体育を受けている真っ最中だった。俺に気付いたまだ若い新任の体育教師に、早く自分のクラスに戻れと注意をされた。





折原、と俺を注意した教師に呼ばれたのは、あれから数日後のことだ。大人しく教師の後をついていきながら、少し痛んでいそうな金髪を眺める。

「ねえせんせい、どこ行くの?」

後ろから声をかけても教師は振り返らない。無言でずんずん突き進む教師についていき、入れ、と促されたのは夕日が射し込むしんと静まり返った誰もいない体育教官室だった。



「せんせー、なんですか?俺早く帰りたいんですけど」

「呼び出される覚えはねぇのか」

「ないです」

「……よくそんなこと言えんなぁ、臨也」

「…あは、どこから見てたのシズちゃん?こわーい先生に襲われてたんだから助けてくれなくちゃ、」

続くはずの音は吸い込まれた。
そういえば前キスをしたのはいつだったか、思いだそうと思考を飛ばせば、がり、と舌を噛まれた。軽く噛まれただけのそこはほんの一瞬ピリッと痛んだ。

「俺の机使いやがってよぉ…」

「ああ、これ平和島先生のデスクだったんですか。思ったより綺麗好きなんですね」

わざとらしく先生、と笑いながらあの日座っていたデスクを指で撫でていると、その手をがっちりと、力強く掴まれた。それは簡単に振り切れるものではなく、しかもそれをそのまま後ろに捻られ、デスクに腹這いに押し倒される。

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あきゅろす。
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