企画小説
2





バタン、という音の後、トランクが開いた。明るい光に目を瞬かせ首を擡げると、シャツの胸倉を掴まれ座らされる。

「くぁ、ああ」

穴の開いたボールギャグを嵌められ、トランクに入れられたときと同じように男の肩に担がれた。少しの距離を移動し、辿り着いたのはどこかのトイレのようで、安い芳香剤の匂いがする。便器の上に座らされ、リードのついた首輪を巻かれ、リードの先はトイレのタンクの後ろにあるパイプに繋がれた。逃げられないように、ということなのだろう。それなら思い描いていた甘い希望は、早くも崩れ去った。

手は前にもってこられ、左右の手首の拘束具は鎖で繋がれた。その鎖は首輪の前側についている鉄の輪に通されており、両手をあげたようなポーズのまま一定以上は動かせない。
足の拘束具は外され、自由にされた。
足首には拘束具の痕がくっきりと残っており、足全体にも痣や切り傷が散らばっている。我ながらその足はゾッとする程の白さと細さになっており、泣きたくなった。



じゃあな、と去っていく男の背を見送る。
ボールギャグの穴の隙間から唾液がだらりと垂れ、それがシャツを僅かに濡らした。特に何かをされた訳ではなく、ただ放置されているこの状況に首を傾げながらも、リードを千切れないかと首が締まるのも構わず首ごとを引っ張ってみたり、中途半端な位置にある手を暴れさせたりした。結果は言うまでもない。

そんな足掻きに疲れ、身体から力を抜きボールギャグ越しに溜息を零した。ぐったりと力を抜き、眠りに落ちようと瞼をおろしたその時、開いたままだったトイレのドアから知らない男が顔を出した。



誰なんだろう、と男の顔を見ていると、他にも誰かいるのだろう、マジでいるんだけど、と男の楽しそうな声が聞こえた。トイレの中に入ってきたその男の後ろから、ぞろぞろと4、5人の男が入ってくる。

何をされるのか、なんて思わない。何をされるのかなんて、わかりきったことだ。

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