短編小説
4
臨也は今僕の家にいる。
足首をきられた後、静雄曰わくまた臨也が逃げだそうとしたらしい。ちなみにこの会話は既に14回目だ。だから、静雄が仕事に出掛けているときは僕の家に臨也を預けておくらしい。臨也が逃げ出さないように見ておいてくれ、と。

臨也の足はどんどん短くなっていく。
静雄がなにを定義として逃げようとした、と言っているのかわからないが、逃げようとした、そうなる度に臨也の足はまるでハムのように少しずつ切られていっているようだ。毎回の治療が大変なんだけど。

臨也は毎日僕の前で泣く。
それを僕は毎日抱き締める。

「ねえ、君は逃げようとしてるの?」

「はは、逃げれる訳ないだろ?
足がこんななんだから。だから、寝室行こうって言われても風呂入ろうって言われてもご飯食べようって言われても、動ける訳ないんだよ。それだけで逃げようとした、だもんなぁ」

「だったら君のこの足はもうすぐなくなるね。そしたらこっちの折れた足を切り始めるのかな?それでも君の足はすぐなくなっちゃうだろうね」

「はは、は!………そうだよねぇ……。
ね、新羅……お願い、たすけて…おれ、もう逃げられない……」

「そうかい?この手がまだあるじゃないか、地面這いずって逃げれるよ。捕まったらこの手もなくなるんだろうけど。もしそうなったら静雄のことだからまず指を落とすのかな?この薬指みたいに」

「やめてよ…っ」

「だから言ってきただろう?
嫌なら別れたら、ってさ」

「………」

「……嫌なら、別れたら?」

「できるわけ、ないだろ!?
そんなこと言ったら……っ!」

「殺されちゃうねぇ」

あははは、と笑う。

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