短編小説
3
唐突に、男の親指が口内に突っ込まれる。訳の分からない行動に、ペースを更に乱された。
「んあっ…!!?ぐっ…ぅむ、ううぅう……っ!!」
親指のせいで僅かに開いた口に、男のそれが重なった。ヌメ、とした生温い舌が口内に侵入する。大量に分泌された男の唾液がなかに注がれ、口端からだらりと垂れた。
親指がなかったにしても、男の舌を噛むことなんて出来なかっただろう。ただただ気持ち悪い、と身体が硬直し、見開いた目にじわじわと涙が溜まっていく。唇をべろべろと舐め回され、顔を背けたくても、首に回された背後の男の腕によって阻まれる。
「う、ぇう…っんんぅう…!うぇえ…っ、……、…っ!!」
ぐちゃ、と音を立てて離れた舌が、頬をべろりと一舐めした。鳥肌がぶわっとたち、ついに涙が零れ落ちた。舐められたところから男の唾液が滴り、顎を伝い落ちる。
あまりの出来事に、呆けた顔で男を見ていると、男は突然ズボンを下げ下着のなかからそれを取り出した。
「なっ、に…!やめ、やめろっ…!」
男の手が俺のベルトに伸び、それを外す。座ったままの体制のため、ズボンを取り除くことは出来ないのだろう、男はチャックをおろし、下着の上から俺のそれを撫でた。反応なんてしている訳がない、撫でられても反応する訳ない。下着のなかからずるりと取り出されたそれを、全く濡れてもいないのに上下に擦られる。快感なんてない、痛いだけだ。
「勃たないね、インポなのかい?」
くつくつと厭らしく笑う男は、先程取り出した自らのものを俺自身に擦り付けてきた。先走りに濡れた男のそれは熱い。勃起していない俺のそれと重ね合わせ、ぐちゅぐちゅと男の手がふたつのそれを扱く。
「いっ…、やだ、やだやだっ…!気持ち悪いっ、気持ち悪いっ!!やだぁあっ」
男の先走りが俺のものに纏わりつく、男の脇に固定されていない片足を振り回すが、股の間にいる男には大したダメージを与えることが出来ない。下着が男の先走りで濡れていく、べったりと張り付くそれが気持ち悪い。
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