短編小説
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思春期全開静雄×純粋臨也

臨也さんの昔の話/モブ×臨也/軽い性描写があります






シズちゃんはいつも床で眠る。
俺はベッドで眠っているのに、シズちゃんは床に、いくらふわふわの高級品とはいえ、布団を敷いて眠っている。まだソファーの方が柔らかいからとそっちを進めても、少しでも臨也の近くにいたい、と何でもないような顔でさらりと返された。

…シズちゃんは優しい。
俺はシズちゃんに甘やかされる度に、死んでしまいそうな程の幸せに包まれる。顔が真っ赤になるのを感じて、それがまた恥ずかしくて、ばかじゃないの、なんて可愛くないことを返してしまった。それでもシズちゃんは笑うのだ、そして軽いキスを落とす。

シズちゃんは俺が眠るベッドの1メートル位離れた位置に、布団を敷く。だから視線を移せば、いつでもシズちゃんの顔が見れる。ぐっすりと気持ちよさそうに眠るシズちゃんを見て、自然に頬が緩んだ。幸せ、本当に幸せだと思う。
音を立てないようにベッドから抜け出して、シズちゃんの元へ行き、その顔を覗き込んだ。

ほんの少しパサついた、柔らかい髪をそっと撫でる。全く起きる気配のない、口が開いた、間抜けなシズちゃんの顔。小さく笑い声を洩らし、俺の好きな、シズちゃんの大きな、骨張った手を軽く握った。ドラマやテレビでよくある、寝ている恋人にキス、なんて、そんなことすら俺はできない。

…昔のことを思い出す。

たかがあんなこと、だけどそれが全ての邪魔をする。俺だって、君と一緒にもっといたいんだよ、シズちゃん。

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あきゅろす。
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